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俳句漫遊記103 斉田仁

老人の春機炭火の匂いして  仁

まいった。

こういう句に出会えるから、やめられまへんなあ、俳句。

『月天』第9号(06-12-2)所収。
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by tenki00 | 2007-01-17 21:45 | haiku-manyuuki

俳句漫遊記102 村田篠

卵売る人に秋風吹きにけり  篠

「魚座」終刊後、鳥居三朗を主宰に「雲」が始まった。07年1月号が創刊号。主宰か、注目の鴇田智哉から一句引くのが順当かもしれないが、掲句がいい(鴇田智哉の7句からは「「決定的にいい」という句が見つからなかった)。知り合いだから、というのも、ちょっとある。

さて掲句。なんと気持ちのいい風だろう。卵を売るその人(誰?これ?)にだけ吹いているような風。うらやましい。秋風にまつわる俳句的なしがらみ・垢・澱が、「卵売る人」という不思議な存在によって、みごとに洗い流された。
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by tenki00 | 2007-01-16 23:17 | haiku-manyuuki

物に託す? ~俳句の現前化機能

俳句では、「物に託しなさい」ということがよく言われる。

いったい何を、託すのだろう? 

ちょっくらgoole

検索結果をざっと見たところ、(当初の予想どおり)「思い」だったり「メッセージ」だったりするようだ。すると、俳句における「物」とは、「思い」や「メッセージ」を伝えるものということになる。

ところが、ここで困った。私は、作者の「思い」や「メッセージ」にまったく関心がないのだ。そんなものはどうでもいい(*1)

「物」があればいい。もうすこし広げれば「事」があればいい。もっと言えば、言葉があればいい。俳句はホログラム(立体写真)のようなものと思っている。あるいは音楽。あるいは言葉そのもののイコン(聖像)。そこにおいて「思い」や「メッセージ」は、ネガ(ポジでもいいけど)に付いたゴミか不快な雑音でしかない(*2)
  灰皿の汚れてゐたるもみぢかな  島田牙城
「汚れてゐたる」と書かれ、それ以上特定されなかったことで、この灰皿は遍在性を得た。日本のすべての景勝地に汚れた灰皿があり、そして灰皿があるところには、紅葉がある。記憶にあるすべての紅葉が、汚れた灰皿を「起点として」想起される。
 最小限のことばのからくりで、眼前に紅葉があらわれる。俳句はその時、小さな幻灯機に似る。豪奢な景色の中心には、ちゃっかり灰皿が収まっている。(上田信治「成分表12」・俳誌『里』所収)
つまりは俳句のもつ「現前」の機能。

写真や音楽を見るのは、作者(あるいは撮影者・演奏者)の「思い」「メッセージ」が含まれているからではない。現前そのものが、不思議・驚き(wonder)であり、広義の意味で美しいからだ。もっと噛み砕いてしまえば、俳句から享受する不思議・驚き・美しさの根拠になっているのは、作者の存在ではない。世界(universe)の存在なのだ(*3)

物や事に「託した」俳句など、つまらない。


(*1)為念。人の思いやメッセージ全般に関心がないのでは、もちろんない。俳句において、という前提。そうした興味関心に応えてくれるものはたくさんある。社会的事象のすべて、社会科学的言説、日頃の会話等等。それらから生起する「思い」の集合的様相は、仮に俳句に託されようとする「思い」の様相とは比べものにならないくらい豊かで刺激的だ。さらに付加すれば、そうした材料と方法がアプローチできないものもある。それが俳句の領分である。
(*2)もちろん、写真や音楽や絵や俳句に、作者の「思い」を読むことはある。だが、それは(誰かに)伝えようとした思いではない。物に「託された」思いではない。物に対する思い、物との関係、物を前にした作者の「ありよう」のようなものだ。
一方、作者の思いそのものが、対象化され現前化され、それが興趣となるケースもないわけではない。どのようなケースが?というあたりは微妙だが。
(*3)根拠となる「世界」について、この記事とは対照的に作者側からアプローチしている(と今のところ思われる)のが、「俳句=存在モデル」と捉えるたじまさんの記事(http://moon.ap.teacup.com/tajima/332.html)。まだぐにゃぐにゃとして形にならない面もあるが、豊かな関連事項を持ちそうな予感がしている。
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by tenki00 | 2007-01-15 19:04 | haiku

俳句漫遊記101 遠藤治

芽には芽を花には花を葉には葉を  治

「二千六年・七十句」より。毎年律儀に60~70句がアップされている。
http://www.asahi-net.or.jp/~xl4o-endu/haiku.htm

品のいい「もじり」であり、かつ絵画的。こういう一句があっていい。とりわけ句集のなかに、この一句が収まると、にやりとしてしまい、ページをめくるのが楽しくなりそうだ。
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by tenki00 | 2007-01-14 23:12 | haiku-manyuuki

狂流さん、TV出演!

雪我狂流さんのことを書いたとたん、報せが届いた。シンクロニシティ。

NHK総合/デジタル総合「新日本紀行ふたたび」(07年1月20日・土 11:00am~11:40am)に狂流さんが出演するという。共演は写真家の鬼海弘雄さん。

http://www3.nhk.or.jp/hensei/program/p/20070120/001/21-1100.html

浅草の今昔を描くドキュメンタリー。お二人の登場はもちろん「今」のほう。

うふふ、楽しみ。
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by tenki00 | 2007-01-13 21:36 | pastime

Modern Lovers

d0022722_23642.jpg雪我狂流(ゆきが・ふる)さんが俳人になる前の話。アダモと呼ばれていた頃の話だ。なんだかヘンテコなオーラを放ちながら自転車に乗って国立大学通りをやってくる人がいる。見るとアダモさんだ。小さなラジカセがハンドルからぶらさがっている。鳴っているのは Modern Lovers。

ウォークマンの発売は1979年。その直後くらいの時期だが、買っているはずはなかった。ラジカセの小さなスピーカーから、ジョナサン・リッチマンのもっこりとした声と、いやに粘っこいバンドの音が、ミディアムのヴォリュームで流れていた。

逸脱。

いろいろな意味の逸脱を体現していたのがアダモさんだった。

アルタナティブ(もっと違う何か)を体現していたのもアダモさんだった。

アダモさんは俳句によって「普通」を取り戻し、この世の「退屈」を取り込み、「社会」に復帰して、雪我狂流さんとなった。不思議な脱力感やキュートさをまとった狂流さんの句は、逸脱から出発しているだけにモノが違う。

逸脱を知らず、ずるずるの世間に暮らし、「俳句はおもしろいから」と手習った句とはワケが違う。

「俳句は、つまんないもの、おもしろいものじゃない」と言い切る狂流さんの句のオツさ加減。それは出自としてもつ逸脱を抜きにできない。

俳句が結果としてどのような挙措をとるにしても、「逸脱」ということと無縁ではつまらない。

普通の人が世間とべったりなまま暮らすなかから言葉を発する? そんな必要などまったくない。句など捻らず、普通に暮らし続けるほうがよほどよい。

と言ってしまったあと、私は句を捻ることができるのか? 捻るとしたら、どんなふうに?

ゆっくり考えてみることにする。


Modern Lovers; Modern Lovers 1972
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by tenki00 | 2007-01-12 22:10

Eels

d0022722_0235892.jpgEelsはどれも好きだけれど、1枚目がいちばんタイトな造り。完成してしまうと、どう崩すかに努めることになる。才能のある人は、初期に成熟してしまう。私たち凡人が成熟を希求して果たせないのと対照的。

ルーズさを感じさせるものが未完成とは限らない。ルーズができてこそ、オツ、ということがよくある。

さて、この1枚目。乾いているがせつない音。フリークは広義。世の中と折り合えないさまざまな存在。それらへの優しく知的なまなざしがつくる音。

Eels; Beautiful Freak


そういえば、浮御堂の掲示板で、山本★人さんが「うなぎ顔の女将」の話をしていた。eel(鰻)って、変わったバンド名。おまけにリーダーの名が「E(イー)」。ヘンテコリンざんす。
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by tenki00 | 2007-01-12 00:28 | pastime

robert wyatt

d0022722_233397.jpg
聴くたびに「これってこんなによかったっけ?」と仰天するアルバム。それが聴き返すたび、だから、もう、とんでもなく良くなってくる。

ピースフルであること、微妙なところが歪であること、それからワンダーがあること。音楽に限らず。

robert wyatt; Cuckoo Land
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by tenki00 | 2007-01-11 02:38 | pastime

左義長へ

d0022722_13481090.jpg団地の火事ではありません。毎年行く国立桜通りの公園の、どんど焼き。

小正月には早いが、松飾りなど、すぐに燃してしまいたい人の便宜に沿った日程なのだろう。

携帯電話のカメラ。しかもどうやって画像ファイルをPCに取り込むのかわからず、ダメダメな解像度(クリックすると少し大きくなります)。よく見えないでしょうが、かなり大がかり。細い竹の先に餅をつけ、これをどんどの火で焼く。

d0022722_1626013.jpgそのうち縁(ゆかり)の議員さんたちの挨拶が始まった。かったるい。議員というのは、ゴミだな。

帰らずになんでそんなものを聞いていたのかというと、餅を焼くところを見たかったから。ようやく挨拶が終わって、アナウンス。「餅が焼けるようになるまで、あと30分ほどかかります」

それ、早く言って。

餅を焼くのは火が鎮まってから。そらそうか。燃えさかる火にこんなにたくさんのガキども、もといお子様たちが群がったら、危なくてしようがない。もっとも、そのスペクタクルが見たかったんだけれど。

30分も待っていられず、現場を後にした。


d0022722_1349649.jpg運営やってる人からもらったココア。寒い戸外で飲むと旨い。
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by tenki00 | 2007-01-08 18:49 | pastime

オクンチざんす

http://www3.ezbbs.net/03/0123/
〆切は9日24時。メールで投句→選句→結果発表。

まだの人もぜひ御参加を。

未体験ゾーンが味わえる鴨。
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by tenki00 | 2007-01-08 03:05 | haiku