もはや旧聞に属することで、そのとき反応しておくべきだったのかもしれないが、なんとなくそのままにしておいたことを、来年に持ち越さずに、ちょっとだけ書いておく気になった。
豈47号(紙のほう)に寄稿。豈eeky(紙じゃないほう)で拙稿に触れていただいている。 山口優夢さんの「豈47号を読む 特集「青年の主張」編」 ちょっと長くなるが、一部をここに引用(グリーンが優夢さんが私の記事から引いた部分、ブルーが優夢さんの文章)。 ともあれ、要は、いま見えている「俳句の風景」、言い換えれば「俳句世間のありよう」が変わってほしいのか、ほしくないのか、という話だろう。自分たちが変えていくのだと考えている青年はたくさんいる。どう変えていくかは置くとしても、きっと「主張」では変わらない。俳句に、声高で無粋な物言いは向かない。それは俳句の得意とするところでもない。 実は、青年たちが「どう変えていくか」を主張するのがこの特集の意義だったのではないかと僕には思えるのだが。それはともかく、彼の論では、俳句と主張が馴染まないということと、俳句世間を変えてゆくことに主張は向かないということが混同されている。確かに主張だけでは新しい俳句の風景は見えてこないかもしれないが、子規の俳句革新にしろ、新興俳句にしろ、ある主張が他の主張とぶつかって論争が生まれ、俳句や俳句世間が変化していったという経緯はあるのではないか。 「混同」しているつもりはないのだが、たしかに論理の紛糾がある。そこを指摘していただいてありがたい。ただし「主張」では変わらないという部分は、いまでも思っている。そこは優夢さんと見解が分かれるのだろう。 変化を振り返るとき、またふわっと想像するのでもいい、そこで「主張」が果たす役割は大きくない、と考えている。この場合、狭義の主張、つまりは「生年の主張」という特集タイトルが示すような狭義の主張。 俳句世間を変える可能性があるのは、作品(あたりまえだけど)ないしは、ある種の人たちの俳句活動。そこに主張になくともよい。 そして、もうひとつ。仕掛け。ここにも主張はなくてかまわない(隠し持つ場合はあるだろうけど)。 作品(俳句)があり、仕掛けがあれば、何かが始まる可能性が、(それがすこしばかりではあっても)生まれると考えている。 主張は持ちたければ持ってもいいし、役に立たないとは言わないが、実効性のランクとしては最下位のあたり。しばしば主張が足を引っ張ることさえある。と、まあ、これは当然、私、個人的に思っている。 ついでに個人的な側面で、具体的にいえば、作品と仕掛けの部分、ひとつめの作品について、どこかで生まれ続ける俳句(この脈絡からいえば「俳句世間を変える」可能性を孕んだ俳句)を誠実に読んでいくこと、自分で気ままにではあるが、他人に届く俳句をつくっていくこと、そしてふたつめ、仕掛けは、例えば、「週刊俳句」、これはもう主張をもたない「仕掛け」そのもの。 週刊俳句が俳句世間を変えるなどとは、まちがっても思わないが、かすかにその可能性はある。とりあえず、週俳を読む人が今の10倍とまでは行かなくとも5倍になれば、風景はすこしだけ変わり始めると思っているのだが、かんちがい? ● 実は、豈47号が手元に届き、特集部分をめくったとき、寄稿したことを後悔した。まず、「生年の主張」という特集についての原稿依頼書面から、多くの「青年」が寄稿するのだろうと想像し、私は、初老に近づいた中年として、「青年」の外部から、「青年」の気分を素描するという意図で原稿を書いた。 ところが出来上がった特集に、「青年」はあまり目立たない。私が想定した「青年」は20代。どんなに甘く枠を広げても30代前半。小野裕三さん(ちなみに小野さんの記事は、タイトル「はっきり言いますが、世の中的には「前衛」は死語です」一発で、ぜんぶ持ってっちゃった感がある。ナイス)や田島さんは、中年でしょう? 私が後期中年だとすれば、彼らは前期中年。他の方のお年ははっきりわからないが、全体的にあまり若くない。 それと、これは私の読みが甘かったのだが、いくら、「ここに書くものは主張ではない、主張に関する素描なのだ」と説明を入れておいても、特集のなかにあれば、いくぶんなりとも「主張」めいて受け取られてしまう。 つまり、行ってみたら、想像とはまったく違うパーティーで、自分の居場所としては相当に奇妙。そんな感じ。 でも、言い訳しても、もう遅い。 原稿をお引き受けするときは、よくよく考えて。それを2009年のテーマにしたい(今年はすでに手遅れで、迷ったすえに、迷いのままに、1本、入稿してしまった) ● ちょっとのつもりが長くなってしまった。かいつまむと、主張したい人は、してよ、老若男女かかわらず。私自身は、そういう趣味がないので、別のことをするざんす、ということです。はい。
by tenki00
| 2008-12-26 11:26
| haiku
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