鳥の恋ノースカロライナへ無線 中嶋憲武
チチチチチ、と、鳥の恋を音にすると、そんな感じ。それが無線電波の「感じ」と、どうにもこうにも気持ちよく交錯するざんす。
ああ、なんで、この句にこんなにも気持ちよく刺激されるのだろう? ノースカロライナなんて、行ったことも見たこともなく、なにも知ってはいないのに。
掲句は
『豆の木第12号』(2008年4月)より。
余談。自分の周りには、575音を律儀に構成して俳句を書く人が多い。
とりのこえ/のーすかろらい/なへむせん
流派・世代によっては、そのへんいわゆるアバウトで、「おおよそ575音」といった捉え方の人もいるようだ。破調を否定しないし、つまりは声としてどんなリズム(韻律)なのかが問題と考えるタチだが、575音がきちんと収まっていると、きれいな菓子の詰め合わせを見たときのように嬉しくなる。
(この句を593音と解する向きもあろうが、私は593型の575と解する派)
例えば
週刊俳句第55号の「芯」(杉山久子)にある「語り部と呼ばれ青芒のごとし」も同様に律儀に575音。句を味わうにメインテーマではないが、やはり嬉しくなってしまうのだ。