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先生

世間で「先生」と呼ばれる人から学べることは少ない。自分から「先生」を買って出る人から学べることは、もっと少ない。せいぜい、そんなふうになっちゃオシマイだ、ということくらい。

先生は自分で見つけるもので、その人を「先生」と呼ぶことはないし、世間でも「先生」とは呼ばれていなかったりする。子どもにとってもオトナにとっても、これは同じ。

中学高校のとき、学校の図書館に司書のおじさん(って言っていいのだろうか。先生とは呼ばず名前をさん付けで呼んでいた)がいた。本のことは、その人に聞いた。聞かなくても教えてくれた。べ平連(当時、あったのだ)のデモで司書さんを見たと、同級生から聞いた。朝日ジャーナル(当時あったのだ、そんな雑誌が)が、図書館を入って左側の目立つ場所のマガジンラックに並んでいたが、その配置は、司書さんの「自己主張」だったのかもしれない。オルグとかは、なかった。するのは、本の話ばかり。いつもニコニコしていた。私の先生だった。

やはり中学高校のとき、帰り道でよくレコード屋に立ち寄った。買うオカネなんてない。けれども毎日のように立ち寄る。行くと、いつもカウンターに、おにいさんが立っていて、いろいろな話をしてくれた。新しいレコードのことやミュージシャンのこと。そのおにいさんが私の先生だった。

最近になってイナカに帰り、そのことを思い出して、レコード店まで歩いてみた。小さなレコード店がまだ営業を続けていることも驚きだったが、もっと驚いたことに、ひょっとして、と思って覗いた店内、当時と同じカウンターに、「私の先生」すなわち「おにいさん」が同じ姿勢で立っていた。髪は真っ白だったけど。
by tenki00 | 2007-11-14 21:47 | pastime
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