『俳句研究』2007年7月号、盛りだくさんで楽しめる。
新鋭俳人競詠は30代以下の俳人40人の8句作品が並んでいる。このblogの界隈でお見かけする若者も少なからず出演。興味深く全作品を読ませていただき、感想大会のような時間も持った(その模様は明後日リリースの『週刊俳句』第9号に掲載)。 ほかにも柿本多映100句、西野文代(写真と10句)、対馬康子・高田正子の各30句など、俳句作品に、読んでおもしろいページが多い。 そのなかでもなんといっても、夏石番矢「五十人の空飛ぶ大王」50句がトピック。「空飛ぶ大王シリーズ」もすでに歴史の重みを持ち始めたが、やはり50句となると壮観。おまけに俳句総合誌、それも「俳句研究」という俳句世間では確固たる存在感をもつ雑誌への掲載である。 天の滝より法王落ちて飛び始む から始まり、 桜が招く五十人の空飛ぶ法王 で終わる50句は、やはり50句だからこそ。そして俳句総合誌の6頁を占めるからこそ。 つまり、ゴージャスなのだ。 読み手としては、理屈ではない。50句を「空飛ぶ大王」のスピード感に置いてけぼりを喰わぬよう、読む快感の毛穴をいっぱいに開いて、ただただ読む。 緊張と弛緩の同居。詩の一方に下世話があり、奇想のとなりに日常がある。毅然たる挙措のなかに愛嬌がある。 そして読んでいるあいだ、どの句がどう、というのではなく(ちなみに、どの句がどう、というのは、俳句を読むときに、どうしようもなく愚鈍についてまわる退屈な読み方のひとつ)、50句を、ずっと微笑みっぱなしで、一気に読んだ。 50句という句数を掲載した『俳句研究』編集部に大きな拍手。ひとつ贅沢を言わせてもらうなら、124頁目からの6頁というこの位置ではなく、巻頭付近に欲しかった。
by tenki00
| 2007-06-22 12:30
| haiku
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