毎月、全員が、ではないが、
2句ずつ競作。2句という数がちょうどいい。鑑賞は本来、
豆の木の掲示板でやることなんだけれど、現在、出入り禁止を申し渡されているので(ウソです、たぶん)、ここに。
秋茄子に少し似ている軽水炉 上野葉月
浮御堂くにたち句会において特選でいただいた句。そのときしゃっべったから、もういいか。ってなわけにもいかないか。おもしろい。軽水炉って実際、
秋茄子にそっくりなのだが、「少し」という抑制がこの句の場合、効果的に微笑を誘う。
百合蝶と化して朝からずつと雨 太田うさぎ
あっさりと気だるく、なおかつ透明感と心地よい距離感・空間感覚。名づけようもないの雨の日、ただの雨の日の質感との照応によって、百合から蝶へという虚構が、新鮮な肌理と色合いをまとう。
夜の長し白きところに何か虫 宮本佳世乃
曖昧に曖昧を重ねて風趣が出ました。結局、なにやらわかりませんが、答えを出してはいけない句で、きちんと逃げられている。それが成功。好みを言えば、「し」と切らずに「長き夜の」とだらしなく流れてしまったほうが韻律としても宜しかったのでは?などと思ったり。