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パブロフの犬

子どもが泣いている → なにが悲しいのか?
風鈴が鳴っている  → 涼しげ
雨が続く → うっとうしい

モノやコトの発するシグナルが、条件反射的にメンタルな反応としてデコード(解読)される。パブロフの犬に似て。

こうした連関(連想)からは、楽しいことは起こりそうにない。ところが、俳句では、この類のセット、既成のセット、最大公約数的なセットに頼るところも実際には大きい。例えば「共感」という言い方。パブロフの犬は、人気の高い、評価の高い句をつくったりする。大勢のパブロフの犬から賞賛を受けるような。

電話が鳴る → A(a1,a2,a3……an)
夕焼 → B(b1,b2,b3……bn)

電話の音から(a)、夕焼から(b)が導かれる。そこから出発する句作は、n個の既成に1個の既成をプラスするだけのことで、「夕焼」も、「電話の音」も、言葉の作用のなかで擦り切れていく一方となる。おおかたの場合、俳句をつくることは、言葉の擦り切れをぐんぐんと推進することにもなっている。言葉(言語パフォーマンス)の集団的疲弊に加担していることを、多くの人が気づきながら(さらに多くの人はそんなことなどおかまいなしに)、句を作り続ける。

それじゃあ、夕焼から(b)ではなく、(c)を導くと、どうか? 突拍子もない(c)

誰にも理解されない悲しい句になる可能性が高い。きっと、(β)あたりがよいのだろう。夕焼から(b)でも(c)でもなく(β)を。だが、どうやって? 答え:せいぜいがんばって。

パブロフの犬のままでも、いっこうにかまわなくて、けっこう楽しいが、そうでないところもやはり考えていたいじゃないですか、人間なら。
by tenki00 | 2006-09-29 22:46 | haiku
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