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「インターネット俳句協会」のサイトを拝見して (2)

さて、インターネット俳句協会・理事長の挨拶文↓である。
http://www.play21.jp/bbs/e_haiku/ ※のちに協会自身が削除

お読みになっただろうか。

まず、表題の不思議な表記に目がとまる。理事長挨拶(文責 事務局)  冒頭だけではない、末尾にも同じ記載がある。いったい何が言いたいのだろう? 挨拶の責任を事務局が負えるはずがない。「記名」の意味とは、そういうことだ。理事長による挨拶だが、文書化したのは事務局、と解すればいいのだろう。理事長の言葉として読むしかない。

さて、その内容。冒頭付近で興味深いのは、インターネットを「メディア」と捉えている点だ。ウェブサイトなど狭義のインターネットが意識されているのだから、メディアと捉えても間違いではない。私などは、まずは通信網という認識なので、即時性と双方向性を備えない通信って、いったい何?と思ってしまう。狼煙でさえ、即時的で双方向的である。だが、メディアと考えるなら、即時性と双方向性の語の使用もわかる。雑誌やテレビといった旧来メディアが頭にあるのだろう。雑誌と比較して即時的。雑誌やテレビと比較して双方向的。

インターネットを通信ネットワークと捉えるか、メディアと捉えるかの違いは、存外大きいと考えているが、これをいいだすと、ややこしくなる。ともかく、インターネット俳句協会は、インターネットをメディアと捉えている。そのことだけ覚えておけばいいだろう。

次に行こう。インターネットの拡充によって、「個人や少人数のレベルで幅広い俳句活動の展開が可能となった」とある(このとき対照されるのは旧来型の結社である)。それによって、「インターネット俳句(ネット俳句)が俳壇の中心的役割を担うことも十分に予想されるところであります。」という。論旨にまったく説得力がないと私は思うが、理事長および当協会がそう予想するというだけだから、それはそれでいい。問題はここからだ。

(…)ネット俳句がややともすれば単なるお遊び俳句クラブへと墮落する危険性を孕んでいることにも私たちは充分に留意すべきであります。そうしたネット俳句が陥りがちな弊害を予防し、その健全な成長を期するためには、ネット俳句に関わる者同士がそれぞれに情報交流を行い、かつ、建設的な意見交換による互助を保証する拠り所が必要であり、今回のインターネット俳句協会設立の意義もまたそこに存するのです。

「単なるお遊び俳句クラブへの堕落」。こうした把握、このような言明、この物言いとは、いったい何なのだろう?

「俳句関連サイト」は数多い。いろいろなサイトがあるのだろう(私はそれほど数を知らないが)。そのうちのいずれかかを見て、「単なるお遊び俳句クラブ」と思うこともあるかもしれない。思ったってかまわない。だが、そう思うことと、それを「堕落」と呼び「弊害」と呼び、おまけに「予防」までしようという心根のあいだには、大きな隔たりがある。

簡単にいえば、ナイーヴな啓蒙主義。

悪気はないのかしれない。理想をもっている。その理想からすれば、いくつかの「俳句関連サイト」の状況は「単なるお遊び俳句クラブへの堕落」であり、「弊害」であり、「予防」すべきものなのだ。だが、そういう人たちは、自分たちの理想が、別の人にとっては「理想でもなんでもないかもしれない」ということがわかっていらっしゃらない。

あるべき姿は、それぞれのサイトが考えることである。どこかの誰か、例えばインターネット俳句協会が断じることではない。

この挨拶文ではっきりわかることは、この協会が、堕落や弊害、そしてそれを予防できたときの「健全な成長」(なんと空疎な5文字だろう)という価値が、誰にとっても共通のものと思い込んでいる、ということだ。そう思い込んだ人は、自分たちが「良い」と思うことが、誰にとっても「良いこと」と信じて疑わない。

ナイーヴな啓蒙主義を内部に向かって発しているうちは、まだいい。自分の関わるサイト(インターネット俳句協会に名を連ねる人々のサイト)が「単なるお遊び俳句クラブ」に堕落する危険性を感じていらっしゃるなら、それはそれで策を講じたらいいだろう。だが、この物言いはそうではない。

また、2000円だかなんだかを支払った会員たちが「単なるお遊び俳句クラブ」へと堕落するのを、協会が予防しようというなら、わかる。協会の中でなにをやろうが、勝手である。だが、この書き方は、「インターネット俳句」と呼ばれるものの全体を指している。当協会の言う「俳句関連サイト」のすべてが対象である。

とってもエラそうです。インターネット俳句協会。

(つづく、のかな?)


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06年9月17日 追記

この記事ほかで取り上げた「理事長挨拶」は9月17日時点でサイトから削除されました。インターネット俳句協会がなんらかの判断のもと、削除されたのだと思います。その判断は尊重いたしますが、リンク先に参照記事が消えてしまうと、この記事が読者にとって不明のものとなってしまうので、以下に全文引用しておきます。
(繰り返しことわっておきますが、当協会が現在はオーソライズしていない、「設立当時」の「理事長挨拶」です。これについて9月17日以降も取り上げることはいたしません。あくまで、私の当エントリが対象とした一文であることをご了解ください)

理事長挨拶(文責 事務局) ..事務局
2006/09/04(月) 10:36 No.49

理事長挨拶

 インターネット俳句協会設立につき、理事長として一言ご挨拶申し上げます。当協会は愛媛大学名誉教授であられる高橋信之先生の発案により、インターネットという新たなメディアにおける俳句活動の支援を目的として設立されました。これまでの俳句界は、結社単位での活動が中心でしたが、今や、インターネットという即時性と双方向性とを兼ね備えた革新的なメディアの拡充によって、個人や少人数のレベルで幅広い俳句活動の展開が可能となったこともあり、新しい俳壇を担っていく新鋭がそのあたりから輩出されていくことは間違いありません。そして、近い将来には、インターネット俳句(ネット俳句)が俳壇の中心的役割を担うことも十分に予想されるところであります。もっとも、そうした便利なインターネットというメディアは、一方では、情報の氾濫や不正確な情報などによる弊害を併せ持つということもまた周知の事実であり、ネット俳句がややともすれば単なるお遊び俳句クラブへと墮落する危険性を孕んでいることにも私たちは充分に留意すべきであります。そうしたネット俳句が陥りがちな弊害を予防し、その健全な成長を期するためには、ネット俳句に関わる者同士がそれぞれに情報交流を行い、かつ、建設的な意見交換による互助を保証する拠り所が必要であり、今回のインターネット俳句協会設立の意義もまたそこに存するのです。
 さて、協会の活動目標としては、第一に、自由な情報交流の場の確保、第二に、次世代の俳句界を担う新人の育成、第三に、ネット俳句における情報提供と発信の場として中心的な役割を担うこと、などを私は考えております。
 具体的には、第一に、現在のネット俳句の状況を把握して、俳句関連サイトを網羅するリンク集の作成、第二に、各サイトにおける諸問題を解決すべきサポート体制の整備、第三に、インターネット俳句コンテストの主催、第四に、メールマガジンや文書による会報の発行などを予定しています。また、中長期的な展望としては、NPO法人化、ネット句会、俳句教室や添削指導などを勘案しております。以上、これからの俳句界を担っていく中心的存在として当協会に課された任務は重大であり、心して万事に取り組むべく意を新たにしているところです。ぜひ、皆様のご理解とご協力のほどをお願い申し上げます。

                               平成18年9月3日
                       インターネット俳句協会理事長
                                   五島高資
                                (文責 事務局)

by tenki00 | 2006-09-09 21:05 | haiku
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