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歌仙「梅月夜の巻」満尾

大波さん・龍吉さんのノマド句会が矢川吟行にいらっしゃるということで、近所に住まう私も参加させていただきました。今年の2月、拙宅で巻いた歌仙「梅月夜」(18句半歌仙)の続きを句会後に巻きましょうかとご提案申し上げ、続きを巻きました。

2月の歌仙の模様は、以下の過去記事参照。
http://tenki00.exblog.jp/2691442/
http://tenki00.exblog.jp/2709693/

続きを巻くといっても、始まったのは5時過ぎ。名残表(ナオ)以降、あと18句はまず無理、また次の機会に続きをやればいいと考えていましたが、なんと、満尾。めでたいです。

***
歌仙「梅月夜の巻」

   国立やをちこち匂ふ梅月夜       猫髭
     春の闇より出でし銀猫      あめを
   卒業のこころは既に野に在りて    うさぎ
     ロールシャッハの唐草模様     双葉
   満月の印度更紗を透きとほる      龍吉
     いつまでぐさの奥へ奥へと      祥
 ウ 運慶作風呂の手桶にちちろ鳴く     遊起
     片膝たてて袖を掴みぬ       龍吉
   昼下がり背中で聞いてゐるチャイム  うさぎ
     懺悔の済んで上がる血圧       祥
   冬の田に唸つてをりぬポンプ小屋   あめを
     番犬けふは少し眠さう      うさぎ
   はつなつの月の漂ふカビラ湾      双葉
     波布を連れゆく宇宙遊泳      龍吉
   ベロ出すもアインシュタイン式であり あめを
     実験室に廻る音盤        うさぎ
   声已まぬマックス・ローチ花吹雪     祥
     菜の花飯を食ひ散らかして     龍吉

ナオ 武蔵野のひろびろとして揚雲雀     遊起
     巻き上げてゐるトイレットペーパー 雅吉
   青簾越に呼びたる豆腐売り       一平
     鬼灯市の出戻り娘        うさぎ
   青年の臑のカーブの美しき       伸子
     星の流るるごとき黒髪     じゅん木
   大屋根をまつさかさまに魔法瓶     一平+じゅん木
     境野大波の帽子つぶれて      雅吉
   風花の空にまぎるる鳥一羽      うさぎ
     松の内なる東京タワー     じゅん木+雅吉
   連弾の響く団地の十号棟        猫髭+あめを
     厨の音の月を刻めり        猫髭     
ナウ 秋風の杜氏の手酌の酔心地       龍吉
     三脚かかへいろは紅葉を       祥+雅吉
   友達の見廻ってゐる金閣寺       伸子
     松を越え行くパイプの煙      遊起
   孫の手の転がつてゐる花の昼      一平
     こくりこくりと春の縁側      伸子


***
連句ははじめて、という方も多数いらっしゃいました。合作の付句も多く(その旨を記していない場合も、皆で頭を捻りました)、楽しい名残表・名残裏(歌仙後半)となりました。連衆の皆様、お疲れ様でございました。

あめを 記
by tenki00 | 2006-08-13 10:35 | kasen
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