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かんじき

という句誌が届いた。「かんじき」は木偏に累と書く。

昨年12月に麦の会・秋田支部句会にお邪魔した。そのあとすこしして、秋田支部が出している句誌に10句を寄稿せよとのご用命があった。げっ! 自選で10句? そんな暴挙はできませぬ。

「秋田滞在のあいだに詠んだ句のなかから10句を選べばいい」とおっしゃっていただいたが、あいにく、そのとき秋田でつくったのは3句程度。3句から10句を選ぶわけか。ううむ。

困り果てたが、ご用命であれば応えねばならない。「私のような初心者には100年早うございます」とお断りすることもできるが、一宿一飯の恩義がある。「はい。それでは謹んで」とお答えし、約1か月間苦しみまくって10句をお送りした。それが掲載された句誌「かんじき」が届いたのだ。

すこし前、自選の苦しさを書いたが、数か月前にもそれを味わっていた。何句か投句して、エラい人に選んでいただく。この結社の投句スタイルは気が楽でよい。ところが、自選となると苦しい。にがにがしい。いわゆるコンテスト的なイベントへの投句のための自選も苦しいが、それは他人様の目が入ったうえで、どこかに掲載されるのだから、まだいい。自分で選んだ句がそのまま掲載されてしまう場合、なんというか、こう、不安というか、怖い。で、「かんじき」に掲載された10句を眺め、やはり苦しい。こんなところにあって許されるものなのか。そのへんが自分自身でまったく不明である。おまけに、あまりに畏まって肩に力が入ったのだろうか(力抜くのが芸風なのにー)、自分の句じゃないみたいな句が並んでいる。俳句というもの、自分の句というもの、まことに厄介なものである。

しかし考えてみれば、他人様の選を経ずに掲載されてしまうという恐ろしい体験を、常日頃しているのだった。麦の会には毎月5句ずつ自選が載る。また、すこし前の記事で書いた月天の句誌(年1回)も自選である。これらはなぜ怖くないのか。それはきっと「みんなで渡れば怖くない」式の蛮勇なのかもしれない。とすると、俳句全般、みんなで遊ぶから怖くないのかもしれない。
by tenki00 | 2005-04-29 01:02 | haiku
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