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誤読

俳句は、読むのがむずかしい。これは私だけの事情かもしれないが、とんでもない誤読をしてしまうことがある。

  飛込みの途中たましひ遅れけり  中原道夫

俳句を遊びはじめてまもない頃、この句を知って、おもしろいと思った。列車に飛び込むとき、なるほど、魂が少し遅れるのだ、と感心した。「飛び込み(ダイヴィング)」が夏の季語というセンスが備わっていず、また海から遠く中央線沿線に長く暮らしていることもあって、疑いもなく、そう読んでいた。

そして最近、豆の木第10号(2006)を読んでいたときのこと。大石雄鬼さんの10句のなかに、こんな句があった。

  田吾作の色気をだしてゐるところ

へえ、おもしろい。けど、変な句。「たごさく」が安来節で腰をくねらせているところも想像した。ところが、よく見てみると、違っていた。

  田作の色気をだしてゐるところ  大石雄鬼

だは! 「たごさく」じゃなくて「たづくり」なんだ! 雄鬼さん、失礼しました!とひとり頭を下げた。だが、「たづくり」とわかってはみたものの、私にはいまひとつ句意が掴みかねる(くねっとしてるんだろか?)。なので、秘密裡に、この句は私にとっては「たごさく」のままでいいかとも思っている(再度、雄鬼さん、ごめん!)。

ところで、「たごさく」か「たづくり」か、そんな私のバカはさておいて、雄鬼さんの10句はとてもいいのだ。

  冬ざれや無声映画のみな早足  雄鬼(以下同)
  蛍光灯の一本白く寝冷する
  水牛のはげしく乾き星流る
by tenki00 | 2006-05-14 11:19 | haiku
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