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七吟半歌仙「梅月夜の巻」

  国立やをちこち匂ふ梅月夜    猫髭
    春の闇より出でし銀猫    あめを
  卒業のこころは既に野に在りて  うさぎ
    ロールシャッハの唐草模様   双葉
  満月の印度更紗を透きとほる    龍吉
    いつまでぐさの奥へ奥へと    祥
ウ 運慶作風呂の手桶にちちろ鳴く   遊起
    片膝たてて袖を掴みぬ      吉
  昼下がり背中で聞いてゐるチャイム  ぎ
    懺悔の済んで上がる血圧     祥
  冬の田に唸つてをりぬポンプ小屋   を
    番犬けふは少し眠さう      ぎ
  はつなつの月の漂ふカビラ湾     葉
    波布を連れゆく宇宙遊泳     吉
  ベロ出すもアインシュタイン式であり を
    実験室に廻る音盤        ぎ
  声已まぬマックス・ローチ花吹雪   祥
    菜の花飯を食ひ散らかして    吉

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連衆が実際に顔を合わせて歌仙を巻くのは稀です。ネットには掲示板という便利なものがあり、ここは物理的に離れた連衆が歌仙を巻くに絶好の場となります。だから、どうしても手軽にネット歌仙となってしまいます。

吟行句会後の二次会で歌仙を巻こうという話は、猫髭さんから持ち上がりました。龍吉さんが運営する掲示板「俳俳本舗」での出来事です。

さて当日。猫髭さんと実際にお会いするのは初めて、他の連衆とも二度目ないし数度目という新鮮な人間関係です。谷保天満宮から武蔵野の面影残るハケの道を吟行、句会後、通常ならそこらの飲み屋で「いっちょ巻きますか」という成り行きになるはずですが、谷保なら、拙宅も近い。むさ苦しいところですが、とお誘いしての歌仙となりました。

いわゆるリアルで歌仙を巻いたことのある人ならおわかりでしょう。なかなかテンポよくは行きません。即吟はむずかしいです。おまけに、歌仙はほとんどやったことのないという方も多々いらっしゃいます。ううむ。どうなることやら。

一方、せっかく顔を合わせるのだから、「そんなに焦らず、ゆっくり楽しみましょう」という手もあります。集まれるときに集まり、一巻を一年かそれ以上かけて、じっくりと巻き上げる。きっと、それも愉しい歌仙でしょう。でも、今回は、歌仙の予行演習という感じで、あまり堅いことを言わずに、わいわいがやがや、行けるところまで行くことにしました。また膝送りではなく、気が向いた連衆が付句を捻りましたので、実際には18句の倍以上の付句がテーブル上で披露されました。

そして夕刻近くから飲み食いしながら夜には半歌仙が巻き上がりました。これはなかなかのことなのです、実に。

付句によっては、みなの「合作」という部分もあります。連衆の順序も気ままです。また、よくご覧になればわかるように、言い出しっぺの猫髭さんの名は発句以外に登場しません。発句だけ出して、あとは一升瓶片手に高見の見物……のようにも見えますが、そうではありません。影の総監督として、あるときは連衆の付句に指示やアドバイスを飛ばしまくり、あるときは付筋のアイデアを与え、と全編にわたって大活躍でした。また双葉さんは、連句よりもフェル(虚勢爺さん猫)にご執心でした。

捌きの私の至らなさは、連衆の懐の広さ、心根の温かさで受け止めていただきました。多謝多謝であります。加えて兵站担当のyuki氏にも多謝。食糧・アルコール補給を全面的に頼りました。

ま、ま、まあ、いろいろあっても、なにはともあれ、めでたい。
ほんにめでたい半歌仙「梅月夜」。ここに掲げさせていただきます。     あめを拝
by tenki00 | 2006-02-15 00:12 | kasen
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