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マラソン完走

あめを:よお!
てんき:おお、来たか。
あめを:喉が渇いた。なにか飲むも……
てんき:わーい!
あめを:ど、ど、ど、ど、どうした? 急に大声だして。
てんき:題詠100句が終わった。題詠マラソン俳句部というサイトで、この3月にスタートして、ようやく終わったわけ。
あめを:ふうん。それは、おめでとう。どうせロクな句はないんだろうが、完走はめでたい。どんな句、つくったか、見せてみ。
てんき:ううむ。まあ、まとめておくか。

001:声   うぐひすの声も定型かと思ふ
002:色   早春の海の色にて方眼紙
003:つぼみ   嘘ばかり申すつぼみのをりにけり
004:淡   淡雪に一等機関士が溶ける
005:サラダ   天文の知識乏しくサラダ食む
006:時   一擲の時報に濡れて桜咲く
007:発見   春障子あくを発見して眩む
008:鞄   プロムナードに樹あり鞄に春の闇
009:眠   就眠の儀礼となさむ目刺焼く
010:線路   春天に線路うづまく見事かな
011:都   春あさくあさく蛍光色の首都
012:メガホン   メガホンで覗く大島桜かな
013:焦   恒星の未来に焦土ほととぎす
014:主義   地は鳥に石はけむりに機能主義
015:友   春愁の友あり遠方より空母
016:たそがれ   たそがれの資材課長の手は菫
017:陸   あたたかし大陸移動説たのし
018:教室   教室に不思議な地形つばめ飛ぶ
019:アラビア   春怒濤アラビア糊の蓋とれば
020:楽   音楽が空あをくするミシン踏む
021:うたた寝   うたた寝は胎児のかたち涅槃西風
022:弓   馬の毛が弓となりたる朧かな
023:うさぎ   新社員うさぎを撃ちし話など
024:チョコレート   春分の口のまはりにチョコレート
025:泳   春宵を泳ぐ烏賊やら民衆やら
026:蜘蛛   春の風邪嬉しや「蜘蛛の糸」を読む
027:液体   液体は気体に春はめんどりに
028:母   三春へ山に雲母のむずむずす
029:ならずもの   ならずもの顔の殿様蛙かな
030:橋   鉄橋を過ぎて余寒のまた鉄橋
031:盗   盗塁王春手袋をしてをりぬ
032:乾電池   朧夜のみだらなものに乾電池
033:魚   春眠に魚群探知の音のせり
034:背中   背中にもさいはてありて春の暮
035:禁   核拡散禁止さいたま市の桜
036:探偵   花の冷え犬が横向く探偵社
037:汗   雀蛤となり汗腺の断面図
038:横浜   横浜の人とえびしやこかにを喰ふ
039:紫   はまぐりは這うて行くとふ紫禁城
040:おとうと   おとうとの財布にいくつかの栄螺 
041:迷   てふてふの空にたぷたぷ迷ひ道
042:官僚   田螺でも美人官僚なら赦す
043:馬   馬糞雲丹すぐに泣いたり怒ったり
044:香   ヴァニラ香のしてさまざまの虫出づる
045:パズル   虻そろりそろりパズルの絵を歩む
046:泥   春泥をこそどろ歩きしてをりぬ
047:大和   虚子の忌の大和證券前に犬
048:袖   花の夜の袖より抜けし腕かな
049:ワイン   春の海ポートワインをぽんと抜く
050:変   エイプリルフールの可変抵抗器
051:泣きぼくろ   花どきのダッチワイフに泣きぼくろ
052:螺旋   春眠にそなはる貝の螺旋かな
053:髪   春昼のあやしきものに理髪店
054:靴下   靴下を干してそのまま三鬼の忌
055:ラーメン   ラーメンに花鳥風月ぶちこみぬ
056:松   火星また近づく松の盆栽へ
057:制服   東京にミシン・制服・つばくらめ
058:剣   剣呑にまがるバナナといふ遅日
059:十字   一閃のつばめ十字のあかりとり
060:影   春寒や影絵でまなぶケマルパシャ
061:じゃがいも   じゃがいもを植ゑて一日一悪事
062:風邪   春の風邪おでこに支那の辞書をのせ
063:鬼   あをむしは鬼を退治にゆくところ
064:科学   手も足も濡れて磯辺の科学かな
065:城   春窮のいまだカフカの「城」なかば

あめを:ここまでが3月中か。このあと、ペースが落ちたな。
てんき:麦の会の収穫祭というイベントがあって、30句の〆切が3月末。新作30句はきつい。そこで、この題詠マラソン俳句部で一気にたくさんつくって、そのなかからいくつか足して30句を揃えた。収穫祭用の「つくりおろし」に題詠マラソンを利用させてもらったわけ。
あめを:なるほど。でも、見たことのある句もある。
てんき:むかしの句を蒸し返して、というのも、いくつか。
あめを:ちょっと手を入れて、というのもあるな。
てんき:(062:風邪)の「春の風邪おでこに支那の辞書をのせ」は「支那」をやめて「父」にして、収穫祭に出した。
あめを:逃げたな。「父」はだめだな。「支那」が面白い。
てんき:そうは思うけど。
あめを:悪しき自主規制。
てんき:あ、それからね、このなかに1句、ひどい剽窃が混じっちゃった。
あめを:剽窃?
てんき:収穫祭には出さなかったし、すぐに気づいたんだが、(051:泣きぼくろ)の「花どきのダッチワイフに泣きぼくろ」という句。書き込んでから、「待てよ」と思って調べてみると、祐天寺大将にそっくり同じ句があった。「花冷えやだっちわいふの泣き黒子」。99年3月29日のオクンチ句会。もちろんすぐに祐天寺大将に告げた。
あめを:知らずに出てきちゃったわけか。
てんき:うん。頭のどこかに残ってたんだなあ。恐い。
あめを:恐いな。
てんき:知らずに他にもやってるんじゃないかと思うと、恐いなあ。
あめを:ま。気をつけてネ。で、4月はこれか。

066:消   消火栓春の土より生えてゐし
067:スーツ   生まれつきスーツの好きな天道虫
068:四   くるぶしが四つ桜の夜となりぬ
069:花束   春すぎてゆく花束に紙の音
070:曲   春の雨ふりふるふれば曲馬団
071:次元   四次元へ一歩ふみこむ春日傘
072:インク   春陰はインクのにほひ愛の本

あめを:ここまでは春で、次あたりから夏。
てんき:あっ、飲み物だったね。
あめを:水でいい。水。

073:額   D坂で倒れるをとこ額の花
074:麻酔   麻酔科のうちのひとりは雨蛙
075:続   続・猿の惑星にふと滝の音
076:リズム   そしてハナ肇のリズム大南風
077:櫛   ででむしとなりて櫛風沐雨かな
078:携帯   蓮ひらく携帯ラジオからロック
079:ぬいぐるみ   たましひの音色がさごそぬいぐるみ
080:書   さわさわと書院造りの守宮かな
081:洗濯   うたた寝の果てに泡立つ洗濯機
082:罠   家ぢゅうにいろいろな罠熱帯夜
083:キャベツ   罰として永遠にキャベツ刻む
084:林   みつまめの関節ゆるき談林派
085:胸騒ぎ   空気ふるはせががんぼの胸騒ぎ
086:占   卜占の時間となりぬ亀のそのそ
087:計画   百合蝶に計画的なキャッシング
088:食   世界中かんかん照りや石を食う
089:巻   戦争反対ついでにカッパ巻追加
090:薔薇   宇宙から来たといふひと花器の薔薇
091:暖   リモコンの暖・冷・除湿あまりりす
092:届   ひまわりの描かれし離婚届けかな
093:ナイフ   ペティナイフほどの明るさ九月くる
094:進   小鳥くる進学校の日曜日
095:翼   尾翼ただ聳ゆる秋となりにけり
096:留守   白桃の息をひそめし居留守かな
097:静   星の夜に鍵さすときの静電気
098:未来   飼ふならば鸚哥未来はうるはしく
099:動   らんちうの鰓のみ動く秋の暮
100:マラソン   マラソンランナー千年藤を過ぎゆけり

てんき:以上100句。
あめを:せっかくだから、1句、好き句を選んでしんぜよう。
てんき:おお、ありがたい。
あめを:ふうむ、じゃ、これ。(042:官僚)「田螺でも美人官僚なら赦す」。
てんき:なるほど。それは収穫祭に出さなかった。
あめを:出せばよかったのに。
てんき:永遠にどこにも出さないかも。キミにあげよう!
あめを:いらん、いらん。
てんき:そうか。ともかく終わった。なんか、ほっとしたぞ。
あめを:では、完走を祝して。
てんき:ひさびさに。クリッククリックゥ~
あめを:ごくろうさん! 
by tenki00 | 2005-08-27 18:18 | tenki-ku
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