『豆の木』第16号(2012年4月21日)より。
大いなる甕に手を掛け春眠し 太田うさぎ
甕に手を掛けたまま眠ってしまいそうで、「ちょっと、だいじょうぶですか」と起こしてあげたくなります。
甕には水が張ってあって(いや、酒かw)、水=液体はすなわち催眠的なわけで、眠りとともに身体=精神は甕の水の中へと。まあ、このあたりは、読者が味わう幻想の領分。句でそこまで明示しないのがオツというもの。
しかし考えてみるに、上記のトリップ(読者的幻想)にまで句が踏み込むか、そこ手前で踏みとどまるかで、作家の色合い、作風が大きく分かれます。
太田さん(この言い方、新鮮だなあ)は、はっきりと後者の作家。
雛菊に添ふる乗船券二枚 同
トリップの前奏(準備)として、さりげなく句が置かれる。。一歩手前がちょうどいいあんばいなのですね。
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