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日本の景色

『ぶるうまりん』15号(2010年8月28日)に掲載された関悦史「日本景Ⅱ」50句がおもしろい。前半25句は土浦あたりの春から冬にかけての風景。

  牛久のスーパーCGほどの美少女歩み来(く)しかも白服  関悦史

後半25句には「祭禮--氷屋の配達を手伝いつつ」の前書きがある。

  店の車どこに回せど山車塞がる  同

テレビのドキュメンタリーに広がる風景はどれも適当にきれいです(NHKの世界の街角散歩みたいな番組があって、あれ、楽しいですよね、見ていて)。「実際はあんなにきれいじゃないよ」という言い方もできますが、そうではなく、むしろ、「きれいじゃない景」を映すのは難しいということなのだと思います。技術の難易度が、きれいな風景は低い。だから「きれいごと」じゃない風景が表現できていたら、それだけで価値があろうってなものです。

俳句や文芸は、絵や映像に比して、アドヴァンテージがあるかもしれません。言葉は「見えてしまわない」ぶん、かなり腰を入れてやれる可能性が残されているような気がします。

まあ、それにしたって、「きれいな景」「気持ちのよい景」という無難な成功を狙った句が圧倒的に多いわけで、そのへんは、現状、俳句の決定的にダメなところかもしれません。

  真新しき大観音がくらげのごと  同

  空室のいっせいに透く花火かな  同

「日本景Ⅱ」には、猥雑で、猥雑だからこそおもしろく、いとおしくなるような風景がたくさんあります。

  うすごろも落つる高層団地かな  同

  母ら・包丁・蚊の行きかひて公民館  同

  投光器強し夜店ら陰(ほと)の如し  同



なお、斉藤斎藤の短歌「雨の県道あるいてゆけばなんでしょうぶちまけられてこれはのり弁」を踏まえて、

  ぶちまれられし海苔弁の海苔それも季語  同

もあります。この歌の「定点」としての存在感の大きさを、いまさらながらに。




by tenki00 | 2010-09-08 17:28 | haiku
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