十代か20歳になりたてか、ラジオか街角かも忘れたが、甘ったるい女性ボーカルが聞こえ、その曲がなんとも軽くて、いい。doo doo…といったスキャットっぽい歌詞、doodling song といった歌詞の一節も聞き取れた。今なら、歌詞の一部がわかれば、ネット検索ですぐさま曲名がわかり、サンプルで曲の一部まで聞ける。なんなら、注文まで済ませられる。
ところが、30年前は、そうは行かない。聞こえてきた曲がどうしても欲しくなって、レコード店に出かけた。
伴奏の感じから分野はジャズと察しがついたので、片っ端からレコード盤をめくり曲目に目を通し、doodling という語だけを頼りに探した。
今から考えると、そんな方法で見つけられる可能性など、ほんのわずか。ところが、レコードをめくってめくってめくり続け、ついに「これだろう!」というレコードがあった。コケティッシュに笑う白人女性が大きくレイアウトされている。あの声なら、このジャケットだと確信めいたものもあったが、視聴など叶わないから、まだ正解かどうかは、とりあえず買って部屋に持って針を落とすまでは、わからない。で、針を落とす。
正解!
これ、これ。
つまり、不便なほうが楽しいこともある、という話。
doodling song ≫
http://www.youtube.com/watch?v=AH-AHEsGJWw
ブロッサム ディアリーは昨年2009年2月7日、マンハッタンの自宅にて82歳で亡くなった。
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http://hw02.blogspot.com/2009/02/blog-post_13.html