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俳句=つまらないことのメモ

たじまさんが、私の記事に反応してくださってます。トラックバックにもあるんですが、作法~相対性俳句論(断片)という記事。

私自身かなり浅薄にしゃべってしまったことを掘り下げていただいています。というか、たじまさんの「俳句原論」へと引き寄せられた展開で、もう、こうなったら、私の論から遠ざかったほうが実りが多いのではないか、と。

念のために申し上げておくと(たじまさんには誤解が生じているはずはないが、為念)、俳句が「しょーもないことのメモ」というとき、俳句そのものがしょーもないわけではない。

ひとつトピックを付加すれば、「しょーもないことなんですが」という前置きは、俳句という器のなかにあらかじめ埋め込まれている。それゆえ、「しょーもないこと」を詠んだ句を、「これって、しょーもないでしょ」という身振りで提示することは、「これはためになる話で」と前置きをしてから、ありがたそうな話をしたり、「すげー、笑える話なんだけど」と言いながら笑い話をしたりするのと同じくらい野暮なわけで。(たじまさん)

併せて、その贈り物の価値は、贈る側の人間(つまり「私」)の制御不可能なところで決定されている、ということに同意するための署名(たじまさん)という部分には、同意するわけです。

 

もうひとつ、たじまさんがみずから参照する過去記事から。

「つまらないものですが」という否定のメッセージを正しく受け止めた者だけが、「無限のサービス」を受けることができるのだ。

つまり、俳句は「作者」から「読者」への、「つまらないものですが」という「取り消し記号」付きの「無限のサービス」なのである。

俳句の「読者」は、「作者」からの「つまらないものですが」というメッセージを受け入れる形で、その作品のもつ「無限のサービス」を受け止めるのである。

つまり、俳句における「不可能性」とは、そうした「つまらないものですが」という「取り消し記号」によってしか言い表すことのできない「なにものか」なのであり、その「なにものか」こそが俳句における、「無限のサービス」なのである。


引用が長くなったが、とても示唆深い。私が浅薄にしか語れなかったことは、こういうことかもしれない。
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by tenki00 | 2008-10-31 20:06 | haiku

「切れ」のことなんですが

「読まれることのない評論」との挑発的な予告のあとに豈weekly第11号に掲載された筑紫磐井氏の評論詩「切れについて」

長い。18000字(アキをカウントせず正味)。

体力知力旺盛な読者のみ選ばれて味読熟読の恩恵にあずかるというわけだろうが、私自身はもちろんそこから軽く落ちこぼれてしまう怠惰な読者。最終行の「俳人は、「切れ」について沈黙しなければならない」に、なあんだ、そんなことなら同感同感、と安心したりしている。

なにかといえば、切れ、切れ、って、日暮里の端切屋じゃないんだから。

「切れ」なるものについて、なんやかやとのたまう俳人さんたちを眺めるとき、冷淡な気持ちにしかなれなかったので、「切れ」の話題がちっとは消えてなくなってくれることには大賛成。

…というのはすこしウソで、冷淡は冷淡なまま、ちょっとまだ自分自身のなかで整理が必要。ただし、これ、もっぱら他人様の俳句を読むときの問題として。


あっ、で、ね、18000字、改行スタイルの詩形式なのは、いわば、体をもって名を伝える、といったところの芸。じつはおもしろく読める局面が多々あり、オススメです。
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by tenki00 | 2008-10-31 08:04 | haiku

年をとること

1978年の演奏と2005年の演奏を同期。ロジャー・ダルトリー 34歳から61歳へ、ピート・タウンゼント 33歳から60歳へ。

Won't Get Fooled Again


27年、年をとるということの、その、まあ、なんというか、じいんとしますよね。メンバー4人のうち2人は、この間、亡くなっているし。
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by tenki00 | 2008-10-30 21:01 | pastime

タイガースファンは意外にオトナ

「Q.(意識調査)08シーズン終了。タイガース生活楽しめた?」に69%が「楽しめた」。
http://torao.tblog.jp/?eid=202641

みんな、エラいなあ。私なんか、ふだん、結果じゃない、過程だ、とか言っているわりには、楽しめたわけないだろ! あんな結末で! と、しょうじき思ってしまうのですが。
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by tenki00 | 2008-10-30 09:38 | pastime

答案用紙

俳句というのは、うまく言えているだけじゃあ魅力がない、ということを「週刊俳句」第78号に書いたんですが、つまり、答案を書いているようじゃあダメだろう、ということです。

答案用紙を渡されて、答えの欄を埋めるのではなくて、例えば、余白に落書きをして返す。くしゃくしゃに丸める。鼻をかむ。

期待や予見をはぐらかすようでないと、ね。

正解を書いてどうーすんだよ、という話。
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by tenki00 | 2008-10-28 17:58 | haiku

落選展、開催中ですよ

「週刊俳句」で落選展を開催中。

過去記事
1年経つと、なんだか自分でもピンと来ない記事ばかりですが、いちおうの参考のため。

「落選展」はどうおもしろいのか?」
イントロ http://tenki00.exblog.jp/6469595/
( 1 ) http://tenki00.exblog.jp/6476589/
( 2 ) http://tenki00.exblog.jp/6542184/
( 3 ) http://tenki00.exblog.jp/6580424/
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by tenki00 | 2008-10-26 09:40 | haiku

それ、ほんと?

オリコンという悪名高い会社があって、その情報サイト。別に見ているわけではないのですが、アンケート記事がときおり配信されてくる。それで、どれどれと、覗くと、これがもう、どうにもこうにも不思議な結果なのです。

例えば、この10月、「好きなスポーツ選手は?」で、女性部門第1位が「谷亮子」。

はあ?

10代に聞いた「なりたいと思う理想の大人」の第1位は「学校の先生」。

はあ?

ちなみに2位「母」、3位「父」、4位「イチロー」、5位「自分の意思をもっている人」。

って、どういう項目設定だ?

最近では、「あなたが好きなパスタ料理は?」。第1位はカルボナーラ。

はあ?

どれもこれも不思議すぎる結果。一方、操作があったとして、その意図が見えない。

と、ここまで来て、なんとどうでもいいことを書いているのか、と。はい、どうでもいいことでした。
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by tenki00 | 2008-10-25 19:46 | pastime

俳句漫遊記159 太田トラ?

白鳥を見る将軍の臀部かな  東人

この将軍は、坐っているのだと思う。戦のさなか、とも思った。

人を食ったような、さらに言えば「俳句」を喰ったような、東人さんの句の、私はむかしからのファンであるらしい。

掲句は『月天』第10号(2007-08) 「ブリキ屋」20句より。ほかに、こんな句も。

橋梁に嫌ひな虫が這つてゐる

ヘルパーさん野菊のやうな文字を書き

消火器を倒さうとする子猫かな

春の山太田トラなる仲居ゐて

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by tenki00 | 2008-10-24 02:20 | haiku-manyuuki

あの「豈weekly」で、ここの歌仙が

脇起歌仙「宇都宮」筑紫磐井「予告編風に(番外)」(豈weekly 第10号)で紹介されました。というか、ご本人に見つかっちまいました(冷汗。

記事の最後のほう。
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by tenki00 | 2008-10-23 13:20 | kasen

俳句漫遊記158 黴

美しく黴の来てゐる俳句かな  笠井亞子

この句の指し示す句のなんと美しいことか。美しいものを指し示すことのできるテクストもまた美しい。

つまり、この句にはすでに「美しく黴が来てゐる」ということなのだ。いわゆるメタ俳句、かつ自己言及的。

なのに、この句には自己愛が希薄。これも大きな美徳だが、それは「黴」の効果だろう。蛇足だが、ネガティブな素材は、こんなときに最大限の効果を発揮する。例の「ドブネズミの美しさ」効果。

一方、どんな俳人のどんな句をこの句から連想するかは人によってさまざま。併せて、自分の句のなかに「美しく黴の来て」くれる句が一句でも紛れ込んでいたら、たいそう嬉しいことだろう。

時とともに黴の光を纏うような句? 時間の経過、ではない。古色? それだけではない。説明できるわけがない。


『月天』第10号(2007-08) 「句点。」20句より
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by tenki00 | 2008-10-18 22:20 | haiku-manyuuki