<   2006年 08月 ( 46 )   > この月の画像一覧

「俳句はアタマでつくるな」?

あめを:チャカチャンリンチャンリンチャンリン。
てんき:おっ、また来たな。
あめを:しかし、なんですねえ、ミョーなことを言う俳人さんがいますねえ。
てんき:いきなりか。まあ、いいや。ほお。どんな?
あめを:慣れてきたな。例えば!
てんき:はい、例えば?
あめを:「俳句はアタマでつくるな」
てんき:うん、聞いたことがある。
あめを:じゃあ、どこでつくる?
てんき:うううん、どこで、だろうなあ。
あめを:どこなんだろう?
てんき:トイレで、とか?
あめを:その「で」は違うな。明らかに。
てんき:じゃあ、暇なんで、とか?
あめを:その「で」はもっと違うな。つまり、アタマ以外ではつくりようがないんだ、哀しいことに。そりゃ、臍や足の裏が五七五を捻り出したら、たしかに面白いに違いない。でも、無理。いやでも、かったるくても、アタマでつくるしかない。
てんき:ううん、なんか屁理屈のような…。
あめを:ほお、屁が理屈を言いますか?
てんき:それが屁理屈やっちゅうねん!
あめを:わっ、古典的な展開!
てんき:話を戻そう。「アタマでつくるな」という言い方だ。
あめを:ま、言う人の気持ちもわかるんだ。アタマで苦労するからね、人間は。
てんき:それに、「アタマ」という語を単に言葉として使ってるわけだろう? 器官としてのアタマ、すなわち脳味噌のことを言ってるんじゃない。
あめを:そう。比喩としての「アタマ」だ。
てんき:この場合、言ってる人の「思い」が、その比喩に込められているに過ぎない。
あめを:そりゃそうだ。「アタマでつくる・アタマでつくらない」という、いかにもアタマでつくったスローガンを言ってるわけだ。しかし、その比喩、そのスローガンは、いかにも凡庸で古くさく、しかもかなり安っぽい。
てんき:まあ、心躍る比喩ではないわな。
あめを:俳句とアタマうんぬんを結びつける人は、きっと、アタマとそれ以外の身体が別々だと思ってるんだな。
てんき:言い換えれば、精神と肉体。
あめを:そう。この心身二元論は根深い。それに歴史的に長い。ところが、ボクらは、アタマとカラダが別々でないことを知っている。どちらかだけ一方がどうこうということじゃないんだな、これが。
てんき:うん、それはわかる。特に昔のインテリかな、そうした観念に取り憑かれているのは。何かを書く、例えば文芸はアタマ、土を掘るのは肉体、みたいな。
あめを:だから、物語のなかのインテリは、壁にぶつかると、土方のバイトしたりする。
てんき:まぐろ船に乗ったり、な。
あめを:何かを書くことも、土掘ることも、獣をつかまえることも、アタマ(精神)と身体が同時に機能した結果だ。
てんき:俳句も、アタマだけでつくりようがないし、アタマ以外だけでもつくりようがない。そう言いたいわけだな。
あめを:そう。もっとも、俳句をつくるという行為はアタマに偏重しがちではあるわな。一種のアイデア、言葉という抽象を扱うわけだから。でも、そこで「アタマでつくらない」というスローガンを持ってきて、打開になるとは思えない。
てんき:そうかもしれんな。
あめを:アタマという話題に関連して、右脳とか左脳とか言い出す俳人もいる。
てんき:あ、それも聞いたことがある。どっちかでつくるな、どっちかでつくれ、とかいった話。
あめを:どっちがどっちでもいいんだが、信じがたいのは、あんな通俗科学を、たとえ比喩としてでもスローガンに使う、そのダメさ加減だ。
てんき:右脳・左脳ねえ。うふふ。血液型俳句とまでは行かないが、まあ、ヘンなものを持ち込む俳人さんは、たしかにいるな。でも、信じている人もいるみたいよ。俳人かどうかにかかわらず。
あめを:もちろん脳の専門家じゃないから、よくは知らん。しかし科学の知識なんてなくとも、最低限の論理が理解できれば、右脳・左脳という器官と人間の思考や感受性とを結びつけるのがいかにバカバカしいかは容易にわかる。
てんき:うん、たしかにバカバカしい。
あめを:なにか(A)を司る箇所、これが脳のどこかにある。調べてみると、右脳にあることがわかった。別のもの(B)を司る箇所が左脳にあった。右か左か、どこかには在る。そこまではいいんだが、だからといって、右脳がAを司っているわけじゃない。左脳がBを司っているわけでもない。
てんき:そういうことだな。譬えで言えば、一箇所でしか発掘されていない鉱物Cがあって、その鉱山(D)が南半球にある。このとき、南半球が鉱物Cを産み出しているわけじゃない。
あめを:そう。その鉱山Dは、地球上にある以上、北半球か南半球のどちらに存在せざるを得ない。だからといって、どちらの半球に在るということと鉱物Cとは因果関係にない。
てんき:もっと簡単に言えば、パソコンを開けて、冷却ファンが右側にあるからといって、パソコンの右半分が冷却の役割を果たしているわけじゃないということだろう。
あめを:そう。右脳・左脳という通俗科学の二元論を、俳句をつくるときの比喩に使う、そのセンス自体、ずぶずぶに通俗だ。
てんき:うん、それはわかる。わかるけど、漫才にしては、ずいぶんと理屈っぽくなっちゃったね。
あめを:まずい。ともかく、「アタマでつくるな」とか「右脳・左脳」とか、ヘタな理屈を俳句に持ち込もうとすると、惨めなことになるということだ。
てんき:だからさあ、「アタマでつくるな」というのは、「ヘタに考えるな」ということと思えばいいんじゃないの?
あめを:うん。そうかもしれん。
てんき:まあ、そういうことで。
あめを:そういうことって、どういうことだ? まあ、いいや。また来るわ。
てんき:じゃあな、暇人。
あめを:暇人はなかろう? 都市下層民。
てんき:ほっとけ。
あめを:って、これやると、また始まっちまうでしょうが。
てんき:そうだった、そうだった。終わろう。気をつけてな。
あめを:ああ、また来るわ。
[PR]
by tenki00 | 2006-08-31 22:15 | ameo & tenki

朗報! 宙虫さん熊本市長賞

つい先日、宙虫(そらん、と読む)さんのことを取り上げたが、朗報ざんす。
熊本市長賞受賞とのことで、宙虫さん自身の記事をどうぞ↓
http://musinandanikki.at.webry.info/200608/article_6.html

ついでに宙虫さん自身による麦の会・収穫祭の記事↓もどうぞ。なかなか興味深いざんす。
http://musinandanikki.at.webry.info/200608/article_5.html
[PR]
by tenki00 | 2006-08-30 19:10 | haiku

歌仙愛好家の皆様へ

野球歌仙が佳境です。
http://6605.teacup.com/ukimidorenku/bbs

なんだか、新しくも始まったざんす。こちらはなむさんのお捌き。
http://8408.teacup.com/namubow/bbs
[PR]
by tenki00 | 2006-08-29 12:40 | kasen

悦ばしき俳句

義父・義母とyuki氏と4人で外食の晩御飯。わりあい久しぶりか。

昨日の浮御堂くにたち句会の話になって、どんな句があった?と訊かれたので、紙ナプキンに、昨日、抜群だった狂流さんの句を書いて、お見せすると、ウケるウケる!

調子に乗って、私が憶えている昔の狂流さんの句やらなむさんの句やら栞さんの句やら、いろんな句友の句を書いて見せたら、笑ったりしんみりしたりで、すこぶる反応がいい。結局、テーブルに置いてあったナプキンをぜんぶ使ってしまい、となりのテーブルから持ってきた。

そのうち、「山本さんの、おもしろい句はないの?」とご所望。両親は、山本さんに何度も会っている。そこで私、「あ、それなら、私のつくった山本句があります」と、山本さんを詠み込んだ句をいくつか書いてお見せすると、これがまたウケる。

ああ、俳句は、意外なところでも、人に悦んでもらえるのですねえ。
[PR]
by tenki00 | 2006-08-28 23:38 | haiku

乙女雑誌

d0022722_13112861.jpg乙女雑誌 さいばらてんき 人名10句

長茄子をずぶり瀬戸内寂聴氏   参照
上海へ大屋政子の平泳ぎ     参照
鍵ひとつ残り人間ポンプの忌     参照
シャンプーの頭ふりむくキダタロー     参照
切株に雨がぽつりと茅舎の忌     参照
坂田利夫組み体操のてつぺんに     参照
花びらを手水に浮かべ谷崎忌     参照
河童忌やふつと厠の灯のともり     参照
左千夫忌や乙女雑誌の束ねらる     参照
まつすぐに道とぼとぼと馬場のぼる     参照

100題100句より 031:寂-040:道

まだ041だぞ、おい。ふぅ。しかし絶対に完走するざんす!
[PR]
by tenki00 | 2006-08-28 23:21 | tenki-ku

句会

きょうは浮御堂くにたち句会。戻り鰹その他すでに御到着。参加の皆様はお気をつけて。

9がつく日のメール句会・オクンチは、8月30日(水)17:00 投句〆切
詳細はこちら→http://www3.ezbbs.net/03/0123/

オクンチは、簡単に言うと誤解を招く恐れもあるが、異種格闘技の面白さ。格闘はしないが、出てくる句の幅が広い。また、選評にコクがある。まだ参加したことがないという方も、お気軽にどうぞ。
[PR]
by tenki00 | 2006-08-27 10:03 | haiku

俳句漫遊記88 切れ字

待乳山ぴ人形焼のやぶにらみ  井口 栞

数年前、吟行で待乳山に足を運んだ、そのあとの句会でこの句を見たとき、「ぴ」って何だろう?と思った。披講のときも、この不思議な「ぴ」のことが話題になった。「人形焼のやぶにらみ」という把握・言い切りようの心地よさもあって、多くの選を集めたものの、皆が「ぴ pi」については「?」だった。そこで作者が短く説明してくれた。「ここに切れが欲しかったから」

まつちやま ぴ にんぎやうやきのやぶにらみ

待乳山は5音で、音は足りている。それでも、そこに切れ字を欲しがり、その場で「ぴ pi」という、栞さんオリジナルの新しい切れ字を入れた。ということなのだ。説明を聞き、句会は感嘆と爆笑に包まれた。

そのとき、私は思った。「この人は、俳句をやるために生まれてきた人だ」

『月天』第5号(2001年)所収。
[PR]
by tenki00 | 2006-08-26 23:00 | haiku-manyuuki

デバイス どうでもいいかもしれない補足

「季語、効率と制御のデバイス」という記事 2006-08-16 で使った「デバイス device」という語は、今はコンピュータ用語で広まり定着しているが(装置、周辺器機といった意味)、もうすこし本来的な意味で使った。

工夫、考案。文化的な脈絡では、事がうまく運ぶような仕掛け、のようなニュアンスもある。

「ディヴァイス」とキザに英語っぽく表記するのもトニー谷主義的にはアリだが、めんどうだ。デバイスと、定着したカタカナ読みで行くが、意図としては device である。

ほんとに、どうでもよかったかもしれない。
[PR]
by tenki00 | 2006-08-26 21:35 | haiku

収穫祭の結果が出たんだけど

「麦」9月号が届いた。60周年記念号なので、とっても分厚い。南志さんところでの編集の最終刊。誠にご苦労さまでした。ぱらぱらページをめくっただけで、誤植がごろごろ見つかる。うふふ。誠にご苦労さまです。田沼文雄句集は『即時』ではなく『即自』ですので、よろしく。いろいろ特集記事があって、収穫祭の結果発表もそのひとつ(私の30句は5位で、うれしい結果ではなかった。若者がよく使う言葉で言えば「ビミョー」)。

収穫祭の句稿の整理をお手伝いした関係で、参加三十数作品はざっと読んでいた。その段階で注目したのは、宙虫さんの30句。そうとうによかったので、その時点で、宙虫さんには「いやー、よかったっす!」とメールしてしまい、編集部にも、その感想はお伝えした。審査員が宙虫さんの30句をどう判定するか、それに注目していた。結果は第3位(3名が1位で推したが、点数が極端に低い審査員が複数いた)。

審査員の点数(1人最高100点でそれぞれに決めた順位によって点数が決まる)の合計で順位を決めるという形式は、客観的なようでいて、そうでもない。例えば、妙な審査員が1人混じるだけで、それをダイレクトに反映した妙な結果が出てしまう。また、審査員それぞれが作品に順位をつけるとき、30句のそれぞれに点数(5点満点)を付け、その合計で順位を決めるという、審査員をバカにしたような形式をとっているところも(これは今年、お手伝いをしてはじめてはっきりわかった)、なんだかなあ、という感じだ。

そんなこんなで、順位は順位として決まるわけだが、私にとっての第1位は、宙虫さんである。そのことははっきり言っておこう。

宙虫さんよりも上位にある2作品は、どこがいいのか、私にはさっぱりわからない。それらも含めて、宙虫さんの作品以外のほとんどは、いつか・どこかにある俳句をなぞっているだけのように思った。多少うまくなぞれているか、そうでないかの相対的な差があるだけだ。

宙虫さんの30句は、相対的な差ではなく、ほかとは決定的に違っている。句のスタイルがいわゆる伝統的俳句と異なるという点も大きいだろう。これまで宙虫さんとの付き合いは長い。たくさん読んでいるし、同い年で、友人と思っているから正直に言うが、そうした宙虫さんのスタイルの独自性が、俳句として必ずしもうまく行っているとは思えなかった。だが、今回の30句は、宙虫さんの「独自性」が、俳句という「型」「伝統」にみごとにハマった感じがした。

宙虫さんの30句について、もっと具体的なところは別の機会に触れたいが、ともかく、もう一度繰り返す。

第1位は、宙虫さんの30句である。「麦」9月号ではそうなってはいないが、そんなことはどうでもいい。
[PR]
by tenki00 | 2006-08-25 23:59 | haiku

不妊虫

泉州の由季さんの庭にセアカゴケグモ(毒蜘蛛)が出たという。物騒。「根絶できないんでしょうか」とあるのを読んで、「昆虫はなかなか根絶できないだろう、個体数やら何やらを思えば」とひとり反応してしまってから、ふと、根絶の方法って、あるのだろうか?と興味がわき、ちょっと調べてみたら、不妊虫による根絶が(唯一?)有効らしい。すなわち、放射線で不妊にした雌を大量に放つ。雄はそんなこと知らないから交尾する。ところが子は生まれないので、やがて絶滅する。雄に「カラ撃ち」させるわけだ。

人間って、すごいことを考えますね。
[PR]
by tenki00 | 2006-08-25 22:18 | pastime