俳句漫遊記164 絵葉書

外国旅行先からの絵葉書は、送り主の帰国後に届いたりする。

  二百十日今頃届く絵葉書も  青木空知

もちろん二百十日遅れではないけれど、連想から来る軽い機知を纏ったこの季語の取り合わせは、心地よい。

掲句は、青木空知第一句集『白い名前の兎』(邑書林2008.10)より。以下、気ままに。

d0022722_1152196.jpg熱ひいてゆくとき匂ふ青簾
白梅のまつさかさまに開きけり
水槽に流行り病ひや四月尽
夏蝶の閉ぢれば合へる紋と紋
対岸へ着いてしまふや蓮見橋
線香の煙におんぶばつた跳ぶ
鳴き合うて野分の風に乗る雀
おんぶばつたそのまま転げ落ちにけり
銀杏の実拾ふや首に日の当たる
氷からはみ出して葉のやはらかき
蛤のはなつぼんやりした光
静かなる飲食に蜘蛛降りて来るし
梅雨の蝶薬になるといふ草へ
高まりて日に入りけり黒揚羽
雨粒のつぎつぎ染みる蟻の道
夏の空より太き枝落ちて来し
青虫の葉先ゆつくり沈みけり
つくろひて羽つくろひて冬ぬくし
水吸うて菖蒲の花の名札かな
封筒に切手が二枚鳥渡る

明るさや透明感、ちょっとした屈託、それらすべてに抑制が効いていて、ほんとうに気持ちのよい句集。

青木空知さんは「草蔵」所属。最近作「あたたけし」10句が週刊俳句第101号に。
[PR]
by tenki00 | 2009-04-06 11:51 | haiku-manyuuki
<< ムーン・チャイルド 備忘録 信じる >>