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俳句漫遊記161 煮凝りの質感

映画論煮凝りに箸沈めつつ   太田うさぎ

太田うさぎ「あをあをと」30句(週刊俳句・第85号)より。

小料理屋かどこかで映画の話になるという情景。あっさりとオツな句。だが、映画館の、あの闇と、スクリーンの光、水面のようにどこまでも表面的な光を思うとき、それらが煮凝りの質感へと繋がり、また別の感興を催す。

四角く柔らかく設えられた闇と、そこにある光のことを、私たちは映画と呼んだり、煮凝りと呼んだりする。

(「煮凝り」と呼ぶのは、ちょっと無理があるけれど、この句以降は、そう呼んでしまうことにする)


柔らかい肌(1964)

by tenki00 | 2008-12-14 09:55 | haiku-manyuuki
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