雨と雨ふれあふ色の金魚かな 鳥居真里子
『月の茗荷』(2008年3月・角川書店)より。
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句集『月の茗荷』の特徴
1) 鶴の句がやたら多い。
2) 鶴もそうだけれど、天袋、現住所なんてのが出てきて、八田木枯とネタがかぶる? と一瞬思ったが、そうでもなかった。
3) おもしろい句、多すぎ。めくるページめくるページが愉しい(「めくるめく」ということですか? 違うか)。このところ、いわゆるヘヴィーローテーション。まえから総合誌などで拝見して鳥居真里子のファンだったのですが、ハマりました、この句集。
【参考】
『月の茗荷』がもっぱら「虚」の句集であることは、前作(第一句集『鼬の姉妹』)から続く作者の「嘘」の探求の延長線上にあるが、その「嘘」は、かつて濃厚だった現実否認の色を薄め、ただの空っぽとしての「そらごと」へ向っていると感じた。
上田信治「嘘と諧謔~鳥居真里子『月の茗荷』を読む」(里2008年8月号)