俳句漫遊記131 物理

風鈴の鳴りて遠心力すこし  齋藤朝比古

微妙な物理。「遠心力」という語が、ではなく、句の成り立ちが。

ここに思いはない。人間もない。思いも人間もないことの、すがすがしさ。

俳句が、人の思いや人の理を捨て、物の理を叙述するとき、こんなにも美しい空気に満ちるのですね。

あたりまえです。だって、人の思い・人の理は、世界で最もぶざまで醜悪な代物ですから。


掲句は『豆の木第12号』(2008年4月)より。
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by tenki00 | 2008-05-05 23:56 | haiku-manyuuki
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