『週刊俳句』第28号のヘンテコリンな記事、なのにアクセスすごい。こりゃあ、なんたる不思議現象。
〔サバービア俳句・番外編〕SUBURBIA SAMPLER for Haiku Weekly http://weekly-haiku.blogspot.com/2007/11/suburbia-sampler-for-haiku-weekly.html だが、この記事、ちょっと補足が必要かもしれない。 例えば、ブログ「へなちょこ人生」のやまちあんさんの記事 自分達が好きな音楽と自分達がやってる俳句とをなんとかして繋げたい、という感じがしないでもない。 これは違う。 サバービアとして商品カテゴリー化された音楽のことを、記事として押さえておいたのだ。lugar comumさんのセレクションは彼のサービス精神、『週刊俳句』のサービス精神でもある。橋本徹氏の戦略や所業について、LCさんも私も冷静である。そのへんは対話で伝わったと思う。 さらに、やまちあんさんの記事。 音楽に限らず俳句的なもの、というものはたくさんあるとも思うし これはそのとおりであって、猿丸さんと信治さんの最初のダイアローグで、写真や小説に話題が及んでいる。コレ↓ http://weekly-haiku.blogspot.com/2007/09/blog-post_6310.html そこで、なのだが、「サバービア俳句」について、猿丸さんのコメント。 「サバービア俳句」と言いだしたのも、ひとつには、俳句を〈外〉へと解放して、同時代的感性とのつながりをもっと意識したい、しなくてはいけないのではないかという思いがあってのことです。 http://weekly-haiku.blogspot.com/2007/10/blog-post_339.html#c3601901021754927370 とてもわかりやすい。信治さんとのダイアローグ記事では、お互いの間合いを計りながら痒いところにあえて手を届かせない演出があったが、このコメントで言われていることが率直な思惑と考えて間違いなさそうだ。 ジャンル横断、つまり俳句と俳句ではないものをつなぐ概念、これは簡単に見つかるものではないが、あっぱれにも「サバービア」が掲げられた。 だが、この語が「商品音楽」の世界ですでにその脈絡独特の意味を獲得していたことは、「サバービア俳句」にとっては、むしろ不幸なことだと思う。音楽と短絡されてしまう危険性を孕み続けるからだ。 「サバービア俳句」という、ややもするとチャラチャラしたモードに埋没しそうになる概念は、戦略的にそこから逃れなければいけない。 だからこそ、今回のLCさんと私のおしゃべりと音楽セレクションは、そこから逃れるために、「音楽」の部分の「押さえ」として機能しようとしたものなのだ。すなわち、「さようなら、商品音楽カテゴリーとしてのサバービア、こんにちは、サバービア俳句の核心」ということ。「サバービア俳句」のサバービアは、本来の「郊外住宅」にまつわる概念に絞る方句へと、今後、向かう。 ひとつ重要なことは、サバービア俳句という概念設定は、手段でしかないということだ。目的化すると、滑稽なことになる。「極上のサバービア俳句10句をどうぞご堪能くださいませ」(大笑。 目的はそこにはない。これ↓である。さきほどの猿丸さんのコメントを繰り返す。 俳句を〈外〉へと解放して、同時代的感性とのつながりをもっと意識したい こう聞いて首肯する人は多いだろう。私もそう。そして、とりわけ若い俳句愛好者たちにとって、重大な問題だろう。 俳句が〈外〉へと解放されないかぎりは、どれだけ俳句をがんばって、どんなことを起こそうが、しょせんは、俳句世間という蛸壺のなかでの、ちっちゃなちっちゃな成功あるいは事件に過ぎない。 この事態の重さは、もう未来がそれほどないことを知っている私たちと、膨大な未来が待ち受けていると信じている若者とでは、ワケが違う。 「俳句村の自給自足で何が悪い?」「俳句は、手習いで充分」といった諦観を、私たち年寄りの基準で考えてはいけない。若い人に、そんなことが受け入れられるはずがない。 若い俳句愛好家の多くは、俳句に本気だ。そのことを私は知っている。彼らが本気でやっていることが、「蛸壺のなかの手習いごと」に過ぎないなどという状況は、あまりも残酷だ。 蛸壺から〈外〉へ。これは若い人たち自身がやるべきことであるに違いないが、私たち、若くない人間もまた、当事者の一人であるべきなのだ。 〔参考〕 若い人たちの俳句的現況にまつわる鬱屈と俳句的未来の希望との併存。その一例↓ http://1mol2mol.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/post_7331.html
by tenki00
| 2007-11-06 20:48
| haiku
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