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12+5 問題 (4)

週刊俳句の「十二音技法」が俳句を滅ぼす(遠藤治)に言及したかわうそ亭さんの関連エントリ、2つ。
「俳句の技法」
「続・俳句の技法」

おもしろく拝読した。

で、「鰯雲人に告ぐべきことならず」の解釈をめぐる話題。

  鰯雲●ひとに告ぐべきことならず  楸邨

この●の部分をどう把握するか、という問題。

思い出したのが、この「俳句的日常」でも、この句の解釈が話題になったこと。
こちら⇒「ひとに告ぐべきことならず」 2005-10-29http://tenki00.exblog.jp/2088141

コメント欄も盛り上がった。

コメント欄のコメントをざっと見渡す。かわうそ亭さんの記事にある丸谷才一の分類にしたがえば、師系を楸邨とする朝比古さんが「俳句の専門家」の解釈、私が「俳句の初心者」の解釈、四童さん(遠藤治さん)が丸谷才一の解釈、ということになる(なんか適材適所で笑える)。

ここで、すこしだけ、話題を飛躍させる。季語で5音を消化すれば、残りは12音。8音なら、残りは9音。ほとんどの俳句は、〈季語〉と〈季語以外〉から成る。季語は、それを既成というのであれ、集合知と呼ぶのであれ、こちらの創作の領分ではない。残る〈季語以外〉が、一俳人の領分。

俳句をつくるということは、既成(季語)と創作(カギ括弧付きの創作ではあるが)の「関係」をつくること、というふうにも言える。

とすれば、12+5 という制作過程にまつわる話題は、単に技法やちょっとしたコツの問題にとどまらず、もっとスリリングな部分にも及ぶことなのかもしれない。

つまり、12+5の「+」の部分に、「+」よりもっと複雑玄妙な記号が入る、ということ。

こりゃあ、もうすこし続きそうだ。
by tenki00 | 2007-05-18 22:42 | haiku
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