俳句漫遊記104 山口東人

無月だとヒゲタ醤油のはうがいい  東人

文化住宅以降、団地、アパート、マンション、それらの卓上にはキッコーマンが似合いそうだ。話は逸れるが、いまウチにはキッコーゴ(亀甲五)醤油というのがある。いろいろですね。播州育ちの私には醤油といえばヒガシマルだった。

ってな具合に醤油の銘柄の話をするしかなくなるのだな、この句は。

みごとに何も伝えない。ほんとうに、みごとなほどに。

そのとき、「ヒゲタ醤油」という言葉の事件がすっく立ち上がり、もろもろの、へなちょこな言説をまったくもって寄せ付けない。

鑑賞?大笑。句評?大笑。そんなものは要らぬと、ヒゲタ醤油とこの句は、素敵に尊大な表情で、俳句的事象を睥睨するのだ。


『月天』第9号(06-12-2)所収。
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by tenki00 | 2007-01-18 23:28 | haiku-manyuuki
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