俳句漫遊記89 雨の鹿

一枚の絹の彼方の雨の鹿  永島靖子

自註に「奈良」とあるので、例えば、絹の布が翻ったその彼方の雨のなかに鹿が見えるのかもしれない。この景は、現実の一瞬、見えたままの景のようにも思えてくる。

なんと美しい句。

美しい句にほれぼれと見とれるために、俳句の近くにいるようものだ。

掲句は『永島靖子句集』(ふらんす堂2004・鷹同人自註句集シリーズ2)所収。この句集から他にいくつか。

扇ひらいて見つくせり雨の山  永島靖子(以下同)
冬帽子めんどりを背に感じをり
橋に倚り橋のつめたし夏祭
低き瓦低き瓦鯛売られけり
乙女らよ空蝉の背の割れざまよ
書肆深く昼鳴く虫のありにけり
盆過の箪笥の影に坐りけり
 
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by tenki00 | 2006-09-20 22:10 | haiku-manyuuki
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