俳句漫遊記88 切れ字

待乳山ぴ人形焼のやぶにらみ  井口 栞

数年前、吟行で待乳山に足を運んだ、そのあとの句会でこの句を見たとき、「ぴ」って何だろう?と思った。披講のときも、この不思議な「ぴ」のことが話題になった。「人形焼のやぶにらみ」という把握・言い切りようの心地よさもあって、多くの選を集めたものの、皆が「ぴ pi」については「?」だった。そこで作者が短く説明してくれた。「ここに切れが欲しかったから」

まつちやま ぴ にんぎやうやきのやぶにらみ

待乳山は5音で、音は足りている。それでも、そこに切れ字を欲しがり、その場で「ぴ pi」という、栞さんオリジナルの新しい切れ字を入れた。ということなのだ。説明を聞き、句会は感嘆と爆笑に包まれた。

そのとき、私は思った。「この人は、俳句をやるために生まれてきた人だ」

『月天』第5号(2001年)所収。
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by tenki00 | 2006-08-26 23:00 | haiku-manyuuki
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