ポルダー(干拓地)

東人さんのブログ「東人雑記」でオランダに関する記事を興味深く読んだ。
http://blog.livedoor.jp/guen555/archives/50650836.html
http://blog.livedoor.jp/guen555/archives/50653813.html
http://blog.livedoor.jp/guen555/archives/50654370.html ほか

思い出したのは、干拓地(ポルダー)についてのジャレド・ダイヤモンドの一文。以下に引く。
オランダ人はおそらく、世界でいちばん環境保護意識の高い国民であり、環境団体への加入率も高い。その理由がまったくわからなかったわたしは、最近かの地を訪れた際、車で田舎のほうを見て回りながら、オランダ人の友人三人に質問をぶつけてみた。返ってきた答えは、忘れがたいものだった。
「ぐるっと周りを見渡してごらん。この農地は全部、海面より下にあるんだよ。オランダの国土の五分の一が海面下で、いちばん低い土地の海抜はマイナス六・六メートル。もともとは浅い湾だったのを、堤防で囲い込み、少しずつ中の水を汲み出して、陸地にしたんだ。『神は大地を創ったが、オランダ人はオランダを創った』ということわざもある。そうやって干拓された土地は、〝ポルダー〟と呼ばれている。最初にそれが造られたのは、千年近く前だ。今でも、じわじわしみ出してくる水を絶えずポンプで掻き出さなくてはならない。昔は、そのポンプを動かすのに風車が使われていた。今は、蒸気やディーゼルや電気のポンプだな。ポルダーごとにポンプが列になっていて、いちばん内陸にあるポンプから海側のポンプへ順繰りに水が移され、最後のポンプが川か海に排水する。オランダには、『敵とはうまくやれ。その敵は、同じポルダーで隣のポンプを動かす人間かもしれないのだから』ということわざもある。オランダ人はみんな、ポルダーで肩を寄せ合っているんだ。金持ちは安全な堤防の上に住んで、貧乏人はポルダーのいちばん底、というようなことはない。堤防とポンプがだめになれば、みんないっしょに溺れてしまう。一九五三年二月一日、大きな嵐があって、高波がゼーラント州を襲ったとき、金持ちも貧乏人もひっくるめて、二千人近くが溺れ死んだ。二度とそんなことが起こらないよう、全国民の負担で、高価な防潮堤が築かれた。もし地球温暖化で北極の氷が融けて、世界の水位が上がったら、オランダはほかのどの国よりも大きな害を被るだろう。すでに国土のかなりの部分が海面下にあるわけだからね。だから、オランダ人は環境にこれほど敏感なのさ。歴史から学んで、自分たちがみんな同じポルダーで生きていること、自分が生き延びるためにはみんなが生き延びないといけないことを知っているんだ」
 ジャレド・ダイヤモンド『文明崩壊』下巻

というわけで、今回は引用のみ。


今日は、100題100句・秋の別館への投句も含め、5句。

秋色のにはとり一羽庭に置く
はちぐわつや水のむときの喉仏
黄に風のみどりが滲む檸檬の実
金蠅のなかの永久凍土かな
蜜豆の底をかつんと鳴らしけり
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by tenki00 | 2006-08-14 23:57 | pastime
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