俳句漫遊記87 ゆく夏を惜しんで、シャワー

シャワー浴ぶまづてのひらを差し出して  中嶋憲武

俳句によってしか生まれ得ない世界がある。時間・感触・音・香り、その他もろもろ。一瞬でしか存在しない世界のありよう。

シャワーの句は、この句に次の2句を加えて、それで満ち足りる。おっと、これは去年の夏のこのブログの記事「夏ゆけり」のコメント欄で、すでに申し上げたことだった。

水の出ぬシャワーの穴を見てをりぬ  雪我狂流
シャワー浴ぶ同性愛のかたわれが  鷹羽狩行

ほかにないか、いちおう調べてみようと、歳時記をめくった。『現代俳句歳時記』(現代俳句協会編)にも『俳句歳時記』(角川書店編)にも「シャワー」は立項されていない。あってもいいのに、ね。で、『日本大歳時記』(講談社)。ここには立項があり、例句が2つ掲載されている。シャワー浴ぶ体も濡れて獣めき・能村登四郎。独楽廻りして立てる子はシャワー浴ぶ・岩崎照子。ふうむ、どちらもよろしいとは思えない。

憲武さんは「詠犬」の名でも知られる。春日部は楸邨を生み、そして詠犬を生んだ。掲句は『豆の木第10号』(2006)所収。


ゆく夏を惜しむオマケ Beach Boys の Don't Worry, Baby をどうぞ。
http://www.youtube.com/watch?v=GePW5SaGJHM
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by tenki00 | 2006-08-17 23:16 | haiku-manyuuki
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