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歳時記を買うの巻 第1回 序説

晩御飯。yuki氏がお皿運びながら、「カレーライスなんだけど、ご飯がサフランライス。まあ! なんてステキなんでしょう!」

ん? ひとりで、なに言ってる?

って、そんな話じゃなかった。歳時記を買うという話である。

買うなんて言うと、「持ってないのか?」と言われそうだが、いくつか持っている。ふだん使うのは2種類。句会のときは『季寄せ』(角川書店編)、机の上では『日本大歳時記』(秋櫻子・楸邨・山本健吉編、講談社)を使っている。

『季寄せ』は歳時記とは違うかもしれないが、句会、それも題詠に重宝する。季語についての解説や例句は、そういう席では不要。いわば季語一覧として使うので「季寄せ」が便利。詳しいことが知りたければ、仕事場や自宅でゆっくり読めばいいわけだし。

『日本大歳時記』は、シノギの関係でタダでもらえた(事情はこの記事参照)のでラッキー。仕事場では、カラー写真のたくさん入った5巻本、自宅では、それを1冊にまとめて写真無しの常用版を使う。でかい歳時記は、連句をやるには必須。連句では季語ごとに春夏秋冬よりもうすこし詳しい季(初春・仲春・晩春…)がわからないとダメなときがあるので必須なのだ。また、大きな歳時記は解説が詳しいし、例句が豊富。眺めていて楽しい。

というわけで、句会など外への携帯は「季寄せ」、屋根の下では「大歳時記」、これで不便は感じなかったが、季寄せがボロボロになってきた。鞄の中に入れっぱなしなので、これはしかたない。同じ『季寄せ』(角川書店編)を新しく買ってもいいのだが、歳時記でもいいかなと思い立った。文庫サイズの歳時記を、句会ではよく見る。気分を変えて、携帯用歳時記もいいかなと思ったのだ。

本屋に行く前に、ちょっとネットで調べてみた。オンライン書籍販売のサイトで「俳句歳時記」で検索。たくさん出ているのはもちろんだが、奇妙なものもヒットする。

実用俳句歳時記(辻桃子編)。
519頁・1575円。これは以前、本屋でめくったことがある。例句に「童子」の人の句がたくさん入っていて笑った。編者が自分の結社の人の句を大量に入れても、いっこうに差し支えないが(ただし版元の編集がそれを許せばの話)、それと知らずに買った人は面食らうだろう。「童子」の句が悪いというのではないが、自分の使う歳時記で読まされたら、かなわない。

こうしてみると、例句というのも、歳時記の大事な要素だ。

ザ・俳句歳時記(ザ・俳句歳時記編纂委員会編、有馬朗人・金子兜太・広瀬直人監修)。
1471頁・3045円。2006年1月刊行。こんな奇妙なものも、つい最近出たのだなあ。中身は知らないが、何が奇妙って、版元である。制作関係先はおろか著者とも金銭上のトラブルが絶えないと聞く(あくまで伝聞です)ところである。有馬朗人・金子兜太・広瀬直人の各先生方が痛い目に遭ってないことを祈るばかり。まあ、痛い目といっても知れているだろう。監修者は何するわけでもないだろうし。実害があるとしたら、作業したはずの(編纂委員会という名になっている)俳人たちだろうが、これが杞憂であれば、それに越したことはない。それに、俳人とはタダ働きが得意な人種である。トラブルなど皆無で、嬉々として編纂にあたったのかもしれない。

そんなことより、ザ・って。

もう一度言うが、「ザ・」である。こんなものに、勲章までもらった大俳人が付き合っていいのか? 自分の晩年をもう少し大事に考えたほうがいい。みずからの信用や名誉というものに関して迂闊すぎないか?

まあ、笑えたからいいけど。

さて、何を買おうか。もうちょっと考えてみることにする。次回に続くざんす。
by tenki00 | 2006-07-14 08:16 | haiku
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