俳句漫遊記77 うまきいつこ 

  凍滝と月光密に応へあふ  うまきいつこ

うまきいつこ『帆を張れり』(邑書林2006)から。

この句集、気持ちよく、淀みなく、ページがめくれた。爽快と洗練を感じる句群。目の前にあるものを捉え(input)、そして句に仕立てる(output)、その双方に、爽快な距離感があり、それゆえの洗練か。目の前にあるものを見ようとするのは誰でもするが、そのとき理想的な距離を保つことは至難。それがみごとに実現されている。仕立ての方法は、俳句のオーソドキシーに堂々と寄り添うが、凭れかかりすぎていない。

って、なんだかエラそうでまずい(照れながら、ちょいと反省)。つまり、爽やかにすっくと立ち上がった句集ってことで。

それと、これが私にとってはさらに貴重なのだが、読後に、作者の大らかな楽観主義のようなものが伝わってくる。このことは私にとって存外だいじなこと。俳句とは、ピースフルなもので、人をとても良い気分にしてくれるものであることをあらためて実感させていただけた。多謝。

いつこさんには、ひょんなことから、約3分間、寸時のお目もじが叶い、その御縁もあって、この句集の刊行を存じ上げ、1冊是非にとお願いし、御恵贈を賜った。最初に拝読してからは、すこし時間が経った。刊行直後に近隣サイト各所で好評を博していたので、ご存じの方も多かろうが、俳句漫遊記として取り上げさせていただいた。なお、いつこさんは「沖」同人。もう2句。

 薄氷に羽毛ひとひら帆を張れり
 地のほてり拾ひてふはと冬の蠅

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by tenki00 | 2006-05-11 22:59 | haiku-manyuuki
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