I'm not like everybody else.

IBMのTVコマーシャルでキンクスの I'm Not Like Everybody Else が流れたときは、ちょっとびっくりした。最初はケーブルTVのスポーツ番組の合間に聞き、最近では地上波でも流れているようだ。You Really Got Me はTVでもよく流れるから、キンクスの初期の曲がかかっても吃驚しないが、デイヴ・デイヴィス(レイ・デイヴィスの弟)の歌という点が、なんだか驚きなのだ。

この曲の歌詞は、例によって、ねじまがりひねくれた(kinky)皮肉も含んでいそうで、一筋縄では解せないが、CMの脈絡では、人それぞれがスペシャル、ってな調子だ。

「自分は人とは違う」という思いは、とりわけ若い頃にとっつかまりやすい想念で、なんらかの自分らしさ、他人とは違う個性みたいなものの存在を信じたいと、ほとんどの人が思う。ところが、そのうち(年を経るうち)、たいていの人は「そんなこと、どうでもいいか」と思えるようになり、「自分という病」から快復していく。違ってようが、同じだろうが、実際、どっちでもいいわけで、少なくとも、自分で悩んで、答えが出るものではないことに気づく。

考えてみれば、若いときは、ほとんどの人間が、自分は人とは違う、スペシャルな何かが潜在(顕在)していると思っているわけだから、これほど平凡なことはない。「自分」というものにそうした意味でかかずらわることの凡庸さに、意識的・無意識的に気づいたとき、「自分という物語」とのうまい付き合い方が身につきはじめる。

しかし、いまさらながらに、人はそれぞれにスペシャルだなんてメッセージが流される(まあ、いろいろなシーンでこの手のメッセージは頻繁なのだが)、それもオトナに向けて流されることには、ふう~んという感じ。自己と他者に関する病は永遠。そう言ってしまえばおしまいなのだが、ともかく、デイヴ・デイヴィスの甲高いブリキヴォイス(日本では近藤14郎の専売特許)と、欧米の先端オフィスの画面とのあいだには、微妙な違和があって、このCFが流れるたびに見入ってしまうのだ。

参考→http://www.bmgjapan.com/_artist/item.php?id=1726&item=5639
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by tenki00 | 2006-04-22 11:08 | pastime
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