エンスージアズム

私は、盛り上がりとか熱狂がどうにもこうにも苦手である。自分でも短所とわかっているが、性分だから仕方がない。

むかしケーキ屋さんでアルバイトをしていた。自分で言うのも何だが(えっへん)、物覚えがよく、スイートポテトは焼き以外の全行程を任され(えっへん)、「大学をやめてケーキ職人にならないか」とまで言われた(えっへん)。「いや、それはちょっと」と言うと、「うちは舶来雑貨の店もやっている。そっちでもいいぞ」と、どっちでもええんかい!とツッコミを入れたくなるリクルートも受けた(えっへん)。

そのケーキ屋はかなり広いホール(喫茶)もあった。こっちは厨房である。ホールにはホール係がいる(ウェイトレスのおねえちゃんとか)。女子アルバイト面接も垣間見たが、これが面白い。採用と決まって、厨房に回るかホールに回るかの配属(っつうような大層なもんじゃないが)となるが、その基準は、言うまでもないが「顔」である。よくぞここまで冷徹に!と思うほど、明確に、「お顔のいい子」はホールに、そうじゃない子は厨房に回される。本人の希望はあるようだが、そんなことはおかまいなし。ケーキづくりに興味があって応募したという若い人妻が、ホールしかやらせてもらえず、その不平をもらしていた。一方、厨房の洗い場で、自分を取り巻く現実を知ってか知らずか黙々と皿を洗い、コップを割っては、シェフに叱られている女子大生がいた。

世の中、きびしい。女性は性格が大事だと思う(棒読み)。だが、お顔が大事な局面もある。女性たちは、そういう厳しい現実に立ち向かって生きていくのだ。

もう一度言うが、世の中、きびしい。このことを若くてして実感した私である。そのわりには、それ以降、のほほんとしか生きてこなかった私である(えっへん)。ところが、日に日にケーキづくりが巧くなる私に転機が訪れる。ケーキ屋さんは、12月と1月で年間売上の半分を売るというくらい、12月のクリスマスから年末年始にかけてが繁忙期である。12月に入る頃から、厨房は活気づき、そして殺気立つ。日々の供給をこなしつつ、クリスマスケーキの作り溜めである。

忙しいことは、私は別に嫌ではない。しかし、書き入れ時に向かって盛り上がっていく厨房の空気に耐えられなくなっていった。恥ずかしいのだ。「さあ、がんばろう!」という空気から逃げ出したくなった。

「やめます」と告げると、シェフは「なに? クリスマスの忙しい時期を前にしてか? このときのために育ててきたのに!」と怒りを露わにする。え? 育ててって、いや、あのですね、私、ケーキ職人のお話はお断りしたはずなんすけど? まあ、ともかく、やめた。最後に、そこでクリスマスケーキを注文し、クリスマスイブには、連れ合いとそれをおいしくいただいた。

だから、何が言いたいのかというと、タイガースの優勝に向かって、ファンが盛り上がるのを見るのは、ちょっと避けたくなるということが言いたい。とても苦手だ。中日の優勝は、どんなことがあっても勘弁してほしかったが、ここまで来ると、中日がんばれ!とも言いたくなる。

優勝とか、マジックとか、そういうことじゃなくて、タイガースを考えたくなる、だから、気が早いのは承知で、井川投手の大リーグ行きで抜けた穴を、川尻で埋めたくなる。

アニキと呼ばれる金本選手は、実は末っ子である。というトリヴィアにもこだわる。そしてその健康オタクぶりにも、思わず、ううむと唸ってしまう。

岡田監督には、まだ慣れない。もう慣れてもいい頃だと自分でも思うが、見ていると、むずむずと違和感が走る。でも、ひょっとしたら愛し始めているかもしれないなどと、奇妙な感情を、どこにどう持っていっていいのかわからない。

と、私がさまざまな感情のコントロールに苦しんでいるときも、その床下でシロアリたちはあと数億年を生きようと、柱に食いついているのである(by東人)

だが、若い頃よりは、私もオトナになった。熱狂は苦手ではあっても、あとさき考えずにその場から逃げ出すということはしなくなった。盛り上がっているその場で、アタマの中ではまったく別のことを考えているというテクニックも身につけ、社会人たる私ををまっとうしている(えっへん)。

ところで、今夜は「ドラゴン桜」の最終回である。かみさんから、録画予約を頼まれている。ドラマの最終回というのも、やはり私は苦手である。

というか、録画予約しに帰らねば。


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by tenki00 | 2005-09-16 19:05 | pastime
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