「おもしろすぎ」というダメ出し

「この句、おもしろいね」「これもちょっとおもしろい」と俳人/俳句愛好者同士のよくある会話に興じていたところ、「天気さん、そっち、ですか」と、ムラコシ君(22歳)が、まだ若いのに女衒のような世慣れて邪悪そうな目つきで宣う。

あ、これは誤解が生じたな、と。

いや、私の言う「おもしろい」は広義であって、「つまらない」か「おもしろい」か、どっちとも言えないか、そのくらいの意味。笑えるという意味とは違う。そう説明しておいたわけですが、実際、俳句における「おもしろい」は、使用法にかなりの幅がある。

例えば、「おもしろすぎ」という評言は、多くのケースで決して好評ではない。とりわけ、ベテランや俳句の先生っぽい人がこれを口にするときは苦言と解するべき。つまり、笑いをとろうとしているの? 一発ギャグ? こういう句はダメよ、ということです。

このへんは、俳句世間に少しいればわかることですが、最初のうち、あるいはいわゆる「俳壇」的な事象に接していない人には、ひょっとしたら伝わらないかもしれません。

句会が大喜利のようになったらつまらないし、俳句全体がお笑いさんのネタみたいになっても困りものですから、「おもしろすぎ」と冷たく言い放って、そのへんを抑制することは必要かもしれません。

ひとつ補足しておきたいのは、俳人の言う「おもしろすぎ」は、句としてかなり出来上がった句に向けられます。ヘタな川柳みたいな句、笑わすつもりだろうけど笑えない句には使わない評言です。ここを誤解すると、ちょっとヘンな方向に行っちゃうので、要注意ですね。

いや、だからどうした、というのではなく、俳句世間のほぼ内部でだけ了解されていること(秘儀的 esoteric というやつですな)、符牒(ジャルゴンってやつですな)っぽい言い方って、いろいろあるんですよね、と。その程度のことなんですが。


[PR]
by tenki00 | 2012-07-11 22:50 | haiku
<< 観くらべ 第15番 お告げ 某日日記 60億本のぶらぶら >>