何を詠むのかは、存外重要で、
梅園を歩けば女中欲しきかな 野口る理(以下同)
梅雨寒し忍者は二時に眠くなる
と、週刊俳句編『
俳コレ』所収の「眠くなる」100句にあるこの2句は、忍者、女中と、かなりエッジなところに切り込んでいる。
さらに「スピカ」に掲載の
「彼女」7句には、
紫陽花に住み貧乏を知らざりき
こう3句を並べると、どこかのお城のお姫様という作者像が浮かび上がる。
あんみつ姫か、
つる姫か、どっちなのかはわからないが、庶民、平民でないことは確か。
『俳コレ』入集の100句には、また、
トンネルや渡り漁夫らの騒がしく
敵国の形してゐるオムレツよ
など、為政者視線の句も。このあたりは作家性と呼んでさしつかえないだろう。
ところで女性の俳人はたくさんいらっしゃるが、なにぶんにもキャラ的なバリエーションが貧しい。例えば、ピカレスクな句を書く女流俳人がいてもいいと思うが、ほとんど思い当たらない。
「お城のお姫様」キャラは、それとはまた別にかなりユニークで、この路線をどう展開するかは別問題としても(いまは戦国時代でも江戸時代でもないからね)、どうにか、がんばってもらいたい(って何を?)と、これはかなり本気で思っているですよ。
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