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観くらべ 第14番 ノーランvsノーラン

予約したDVDをTSUTAYAが2本ずつ郵送で送ってくれるサービス。その2本に勝ち負けを付けるという、ヘンテコリンなシリーズの第14弾。

クリストファー・ノーラン監督作品を、ぜんぶ観る、という篠さんのプランに便乗して、今回は…

フォロウィング クリストファー・ノーラン監督/1998年



プレステージ クリストファー・ノーラン監督/2006年

この監督、メメント(2000年)、バットマン ビギンズ(2005年)、ダークナイト(2008年)、インセプション(2010年)と観て、どれもおもしろい。とりわけ「インセプション」はお気に入り。期待して、今回の2本を観ました。

デビュー作、フォロウィング(following)は、尾行にハマった男(ストーキングとは違う。他人の人生を覗き見る感じ)が事件に巻き込まれ、エラいことになってしまうという映画。ミステリー(謎解き)として上出来で、良質な推理小説を読んでいるような趣。モノクロ画面も奏功。70分という短さもあってか、ぴしっと締まった感じの映画でした(もう少し長くてもいいかな、という感じ。ムダがないっちゃないんだが)。

プレステージ(The Prestige)は、19世紀終わり頃のロンドンがが舞台。2人のマジシャンの競争と敵対と確執を描いて、こちらも上等のミステリー。

ただし! かなり重大なルール違反がある(ネタバレになるので、たとえ話で言うと、密室殺人の謎解きが、実は、壁を通り抜けられる薬が発明されていて…というのでは、みんな本を投げ捨てますよね。そこまでではないが、それに近い。

(それと、その問題となるところに、実在の科学者の名前を割り振って、物語的にアレンジしている点も、どうなの?という…)

さて、この2本には共通点がいくつかある。ロンドンを舞台にしている(時代は違う)。時間的な経過をバシバシ入れ替える叙述(この監督の得意技か。メメントでも、インセプションでも、そうだった。で、これがダイナミックに入れ替えるわりには、見ているこちらが混乱しない。手際がいいんですね)。で、その時間入れ替えに付随してのフックが巧い(同じ絵を、予兆か追想のように差し挟む)。伏線とその収拾が、どちらの映画もきちんとしている。など。

加えるに、どちらも、男と男。これが基本線。そういえば、「ダークナイト」も「インセプション」も、男と男。なんか、テーマ的なこだわりがあるのかも、ですね。



でね、どちらの映画がおもしろいか。シロクロつけねばならんのですが、「プレステージ」のルール違反を重く見れば、「フォロウィング」の勝ちでしょう。

しかし、ミステリーの枠組みをあるときははみだしてしまう伝奇的な物語と解せば、ぎりぎり許容はできる。それに舞台は19世紀です。現代ならしらけるけれど、なんというか、江戸川乱歩にもシュールな処理はあるじゃないか、と思えば、許せるのです。

よって、今回は引き分け。

…にするか、とも思いましたが、制作費、ぜんぜん桁違いに違うでしょ? ということもあって…

「フォロウィング」の勝ち。



で、「プレステージ」なんですが、やはり、マジック(手品)は、リアル・マジック(魔術)ではなく、タネも仕掛けもあるから魅力的(私自身は、手品が大好き。オカルト・超能力が大嫌い)。

この映画、科学/魔術(19世紀はもう渾然じゃないけど、まあ、今よりは渾然)に魂を売った手品師の悲劇ということなんでしょうね。


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by tenki00 | 2012-07-02 23:20 | pastime
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