観くらべ 第12番 歴史

予約したDVDをTSUTAYAが2本ずつ郵送で送ってくれるサービス。その2本に勝ち負けを付けるという、ヘンテコリンなシリーズの第12弾。

左 持
クロッシング・ザ・ブリッジ サウンド・オブ・イスタンブール(ファティ・アキン監督/2005年)


ツリー・オブ・ライフ(テレンス・マリック監督/2011年)



「クロッシング・ザ・ブリッジ~」は「太陽に恋して」のロードムービー感が素晴らしく、「ソウル・キッチン」はまた、軽妙で素晴らしくて、そのうえ音楽が良かったファティ・アキン監督による音楽ドキュメンタリーということで、大いに期待して借りたが、ちょっと散漫。

アール・アバウト・トルコの今の音楽(もちろん伝統の上に成立)ということなのか、初めのパンクロックバンドは(個人的趣味の関係ではなく)要るか?とも思ってしまうし、演奏シーンのひとつひとつが意外にあっさりとした描写で、欲求不満も残る。

それでも、いくつかの伝統音楽(いかにもインスタンブールなものからロマまで含む)は圧巻。演奏技術の血肉化というか、音楽の肉体化というか、板についた感じが半端ではない。長くきちんと音楽をやってきた純然プロのかっこよさです。



一方、ツリー・オブ・ライフ(テレンス・マリック監督/2011年)は、去年の封切。ややこしい映画という風評を耳にして避けていましたが、《アメリカで最も有名な映画評論家ロジャー・イーバートが選ぶ史上ベスト映画10選》に、この映画が入っているのを見て、じゃあ、観てみましょうか、と。

いやあ、もう、めちゃくちゃヘンな映画でした。

英語の「life」という語は、日本語だと「人生」でもあり「生命」でもあり。この映画はタイトルどおりというか、人生ドラマかつ生命ドラマ。前者は男の子の父親との葛藤が軸、

前半の「生命ドラマ」は、イメージ映像の嵐。天体やらマグマ(?)やらクラゲやら、地球生命ン億年の歴史、てな趣向で、バックに宗教曲(キリスト教)が流れ続け、哲学的かつスピリシュアルかつポエミーな独白ナレーションがかぶさる。

前半は、クソ映画です。

腹が立つくらいつまらなくて、何度も観るのをやめようと思いましたが、倍速などを使いつつ、なんとか後半へ。ここでやっとポエムではなく物語になります。

ところが、この後半部分が、なんと、おもしろいのです。

とりわけ父親のアンビヴァレンスが、男の子の目を通して、うまく描かれている。それから、母親や弟の存在。さらには世の中の成り立ちへのいらだち、未来の時間に対する不安。それらの機微が、綺麗な絵を通して、しかし綺麗事ではなくエラく生々しく伝わる。

生命がどうたら、創造主がどうたらは、もういいから、こっちのドラマで、1本まるごと作ればいいんじゃないでしょうか。

ヘンな映画です。



左は、音楽に歴史あり。右は、家族に歴史あり、生命に歴史あり(いっしょにすんなよw)ということで、括りとしては歴史。

今回の奇妙な組み合わせの2本は、どちらも、好き・満足とは遠く、かといってダメ映画とも言い切れず、自分的には引き分けです。



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by tenki00 | 2012-06-12 22:00 | pastime
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