『豆の木』第16号(2012年4月21日)より。
夕暮れが遠くより来る水羊羹 三宅やよい
遠くから夕暮れ。手もとには水羊羹。これが夜? ということもないだろうが、感触と距離感が織りなす、ある種の気分。
ところで、『豆の木』誌は、同人各氏の見開きスペースの上方には10句が並び、下には短文(エッセイ)が載るというスタイル。これは創刊当時から不変らしい。
三宅やよいさんの短文「ありし日」に、以下のようにあった。
だいたいが「ありし日」を振り返ること自体あまり好きではない。「○○の新聞に取り上げられました」と、黄ばんだ新聞記事を壁に貼りだしているラーメン屋みたいなもので、かつてあったはずの自分を語るようになったら終わりじゃないか。
潔い。
さらに、こうある。
見知らぬ場所、出会っていない人がまだ私を待っている気がする。生きてる限り「あるかもしれない私」を楽しみにしたい。
こちらも前向きになれますね。
もうひとつ、ついでに、水羊羹は、たねやが美味ですよね。