勝新の映画『顔役』

ケーブルTVの映画放送の楽しみは、始まったプログラムがなんかだ気になって観ている内にチャンネルも換えず、結局最後まで観ちゃった、という偶々の出会いみたいなところがあって、先般も『顔役』という勝新太郎が1971年に製作・監督・脚本(菊島隆三と共同)・主演した警察vsヤクザ映画、これがとても風変わりな映画で、「なんだ?なんだ?」と興味を引かれつつ、とうとう最後まで観ちゃいました。

どこが風変わりかというと、まず、冒頭、クレジットを乗せたバクチ・シーンの音と映像がエラくリアル。手ホンビキというディープなゲームで、札を叩く音など、このシーンへの異常なほどの執着ぶりが伝わるようなハイフィデリティなサウンド。バクチを打っている人たちもリアル(調べてみると、ヤクザとストリッパーは本職も出演しているとのこと。ううむ。勝新太郎らしいといえばらしい)

その後も、極端なクローズアップやら、鏡像の多用やら、いわゆる「絵」的な部分でチャレンジしまくっていて、油断がならない。部分部分がそこそこスタイリッシュ。けれどもスゲー!というほどの成功は感じない。

ストーリーは、銀行の不正融資がらみで甘い汁を吸おうとする暴力団とそこに割って入る別の組の抗争を主軸に、不良刑事のおもむきの主役・勝新太郎が絡む。「顔役」とは、政界にいるはずの黒幕のこと。そこから捜査に圧力がかかり、現場の刑事が臍を噛む。といっても、この顔役が誰かといったミステリー的要素はほとんどない。

まあ、スートリーがどうこうという映画ではなくて、何が魅力かというと、勝新太郎の肉体、というか体臭がつまっている感じですかね。前述の「絵」的チャレンジも含め、作り手・勝新のエネルギーが高いテンションで伝わってくる。

それと、この頃の街の感じ。制作年の1971年。ああ、70年代って、こんなふうに始まったんだなあ、という懐かしい気分にもなりました。藤田敏八監督『八月の濡れた砂』などとほぼ同時期の映画ですね。

なお、この『顔役』、DVD化されていない模様で、だとすると、ケーブルTVで観られたのはラッキーでした。


↓資料スチル? 映画はモノクロではなくカラー作品です。
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by tenki00 | 2012-05-03 20:00 | pastime
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