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かろみ、あるいは競合のこと

ウェブサト「詩客」、湊圭史さんの時評 『徳永政二フォト句集 カーブ』、ほか」『徳永政二フォト句集 カーブ』(あざみエージェント)を取り上げています。このあいだのウラハイ、樋口由紀子さんの「金曜日の川柳」でも取り上げられた川柳人の句集です。
川柳の三要素というのがあって、「かるみ、滑稽、うがち」がそれなんですが、現代川柳のおもしろさとしては、「かるみ」を、私はいちばんに押したいですね。バカバカしさ、といういみの軽さ(それも使いようですが)ではなくて、このフォト句集に感じられるような、世界にやわらかく触れているようなありかた、という意味で。
「かるみ」を現代川柳の第一の魅力だという点、首肯。

どうも、これ、競合という点から、「かるみ」に行かざるを得ないのではないか、と。

あとの2つ「滑稽」「うがち」は、いまどきは強力な競合が多すぎるという背景があるように思います。

「滑稽」のドメインは例えばビジュアル的な表現(映画やお笑いetc)が強力。

「うがち」は、なかなか理解の難しいところですが、ある種の政治的・ビジネス的言説、例えば、小田嶋隆のコラムやら何やら、ごまんとある「うがち」が日々ウェブ上に生まれて入る気がします。

これらが強力すぎて17音では太刀打ちできない感も。このへん俳句も他人事ではありません。

他分野をもってくるのはおかしいと思う方もいらっしゃるでしょうが、俳句の競合は短歌や小説ではないかもしれませんよ。自動車や旅館が携帯電話に、消費のシェアを奪われる時代ですからね。


ま、川柳にしても、俳句にしても、0.5グラムくらいの「かるみ」がよろしいです(好みを言ってるだけですが)。0.5グラムのなかに天国も地獄も、大笑いも慟哭もあるんですから。


by tenki00 | 2012-02-11 21:00 | haiku
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