大丈夫、無敵

寒いですね。(そりゃ冬だもの)

  マフラーをぐるぐる巻きにして無敵  近 恵

「無敵」と言い放たれるのは、あまり気持ちのいいものではない。「無敵やなあ」とこちらから呆れて言うぶんにはいいが、自分から言われると、ね。

ところが、この句、存外気持ちがいい。颯爽としたマフラー姿というのではない。なにしろ、ぐるぐる巻きだ。でも、その、格好もつけずに、ぐるぐるっと巻いたところが、かえって潔く、それはもう無敵のスタイル。圧倒的なスタイル。

掲句は、炎環4同人の合同句集『きざし』所収の近恵「大丈夫」より。

大丈夫。

大丈夫、無敵です。

ほか、気ままに何句か。

いつつより先は数へず春の波

傘開くところより春暮れにけり

冷酒の口切の音何処より

どれだけ酒が好きか、という。

一房の一気に黒くなるバナナ

金風の始まりトンネルの出口

根元まで吸ひし煙草や菊日和


いやあ、これはいいですね。吸い殻を目にしているということでしょうが、目を細めて、晴れた空に向かって煙を吐いた、その光景が目に浮かぶような吸い殻。

褞袍より人の匂ひのして重し

初春や皺一つなく張るラップ

水引の鶴に絡みし春ショール

書割のやうな青空浅蜊掘る

名月や昨日のごはんあたためて

手袋の中のてのひら湿りたる

とつくりセーター白き成人映画かな

引つぱれば春のセーターから光


明るい。で、挙句は、これ。

桜の芽もつと膨らむまで歩く

この、歩調、ぶらぶら散歩する足どりもまた、大丈夫、無敵。


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by tenki00 | 2011-12-28 18:00 | haiku-manyuuki
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