『けむり』の造本

手に取られた方はご存じのように、句集『けむり』の造本は、とても変わっています。

背表紙がなく(実は表紙もないのすが)、16頁ずつの束(つか)の折がむきだしになっています。これ、和綴に見えるかもしれませんが、そうではなくて、上製本(硬い表紙とかのやつね)の中身、と考えていただけばよいかと思います。

紙の束を糊で合わせて、さらに硬い紙(表紙・背表紙・裏表紙)で挟み込む。背表紙と束のあいだは「花ぎれ」という布が介在しています。紙の束を挟み込むので、ノド(見開きの中央部分)がたわむ。

ところが『けむり』には表紙も背表紙おないので、パカっと開きます。16頁のまんなかの見開きは、糸が見えたりする。この糸、ふつうは見えませんから、白。でも、「見えるんだから」ということでグリーンの糸を選んでいただきました。

説明すると、ややこしいけれど、つまり筋肉に皮膚がなくて、腰巻(本の帯)が付いているという感じでしょうか。

この帯は、なんなら、はずしていただくのもよいですね。



この造本のアイデアは、西田書店のヒダカさんから出たもの。ヒダカさんに感謝です。

はい、西田書店のリンクです。感謝のしるし。
西田書店のページ:購入の場合はこちらから


原稿があがって、さて、本にしようということで、装幀の六番町姐さん(「はがきハイク」の相方)とヒダカさんと3人で何度か打ち合わせました。当初は「ふつう」の本という外観でしたが、「自費出版なんだから、書店で流通しているような外観ではなく」という私の希望を聞いたヒダカさんが、「それじゃ、こんなのは?」と出してくれたアイデアなのでした。で、それを、六番町姐さんが仕上げてくれた、というわけです。

で、人から言われて気づいたのですが、「あとがき」の日付が、なんと「6月」。10月に出る本としては早すぎる。これ、事実、あとがきを書いたのが6月。

こう書くと、ずいぶん、練り上げられた造本、装幀、みたいに聞こえるかもしれませんが、打ち合わせは数度、決まるまでがのんびりしていただけで。

ちなみに句稿は、6月どころか、今年の2月あたりにほぼまとまり、栞文の依頼も済ましていました。そこに、あの「3.11」です。句集どころじゃないだろ、ということで凍結に入ったわけです。

まあ、そんなこんなで。



『けむり』は、表紙~背表紙がないので、おそらく強度はないです(だから、書店などの流通には乗らない)。そのうち束ごとにバラバラになってしまうかもしれません。

まあ、それも良し、と。

六番町姐さんによれば、「バラバラどころか、一定時間が過ぎたら、煙になって消えてしまう仕掛けをほどこした」とのこと。「スパイ大作戦」の冒頭かよ!

実際どうなるかは知りませんが、それは素敵な仕掛けだ、と思いますよ。

吹けば飛ぶような句、読んでくださる方の目の前から数秒で消えてしまうような句、が、著者(私)の狙いですから。



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by tenki00 | 2011-10-24 19:00 | etc
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