カンナという花を好きだという人は少ないと思う。根拠はないけれど。
大雑把で押しが強い感じの花。それだけに存在感はあるのだけれど。
不眠症カンナに雨の来てをりぬ 藤崎幸恵
不眠症は経験がないが、眠りたくても眠れないのであれば、世界は、小さなディストピアでもあるでしょう。どぎつく赤いカンナの花を、さつに大きな葉に、雨が来る。
どう良いのかうまく言えなくて、それでも好きだという句がたくさんあって、この句もその手の句。
『異空間』(2011年3月・角川書店より。他に何句か。
紫陽花の隙間混沌雲と水
夏草や中州に光る警察官
対岸の原子炉真白麦の秋
千ヘクトパスカルわれに黴の花
草刈つてよりの眠気でありにけり
【参考】
≫
:閑中俳句日記(別館)-関悦史
≫
:俳句と主夫の間で
≫
:夜空へ
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