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俳句のおもしろさ

俳句というのは、まあ、読者視点とまずは限定して、そんなにおもしろいものか、というと、どうも、そうではないんですね。

いい映画を観ているときのわくわくどきどき、あるいは大笑い、大泣きが、いい俳句を読んでいるときに、あるか?というと、そうでもない。

いい音楽を聞いたときの爽快感、心躍る感じが、いい俳句を読んでいるときに、あるか?というと、そうでもない。

いい小説を読んでいるときの、気持ちがふわーとなる感じ、わ! わ! なんだ?これは!という驚きも、俳句では味わえない。

フィクションでなくとも、例えば、おもしろい社会科学の本を読んだときの、脳がくすぐられる感じも、俳句にはない。

すごくおもしろいか、そうでもないか、という判断で行けば、いい俳句は、いい《他のジャンル》に全敗する。

(これは私だけの事情? 俳句愛好者はそうでもない? いやそんなことはないでしょう。もしそうだとしたら、《他のジャンル》をあまりに知らないか、《俳句》に洗脳されているか、どっちかだと思う)

俳句を読むことに、それほどの《おもしろさ》はない。

でも、俳句は、《ちょっとおもしろい》。おもしろすぎず、《ちょっとおもしろい》。ここに俳句の「オツ」がある。

《ちょっとおもしろい》という適量のおもしろさこそが、俳句の独壇場だと思います。読んで、「ふっ」と軽く笑える、ちっちゃく微笑む。《つまらない》とギリギリの境界面。

もちろん、現実には《いい俳句》は少なくて、単に《つまらない》だけの句が多い。それは他のジャンルも同様。けれども、俳句は、《つまらない》から数センチの至近距離に、宝物のように、《ちょっとしたおもしろさ》がある。


だから、「俳句って、おもしろいぜー」と高らかに宣言するようなシロモノではなくてね(そういうのって野暮)、感動的なものでもなく、すばらしいものでもない。《ちょっとおもしろい》ものなんだと思うですよ。

この、たいしておもしろくもない俳句というものに、なぜかハマってしまう。これこそが人生のコクというやつなんじゃあないか、と。


by tenki00 | 2011-09-09 20:00 | haiku
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