俯瞰

地球を上空から眺められる google earth をダウンロードして遊んでいたら、グーグルグーグル目が回ってしまった(駄洒落だ、文句ある?)。

くにたちの町にズームして、自分ん家を探したけれど、さすがにどこが我が家の屋根かわからない。当たり前か。でも、そのうち、屋根の上で昼寝している猫の毛並みまで、フリーダウンロードソフトで眺められるようになるのかもしれない。すごい時代になってきたなあ。

ところで俯瞰という「視線」は、ぞんがい新しいもので、これを近代(モダニティ)と結びつける論考なども多い。つまり俯瞰とはもともと「神の視座」という特別な分野に属するものだったというわけ。山頂なども聖性を帯びるが、俯瞰というより眺望の意味合いが強い。そこまでの垂直性がないから。

摩天楼からの俯瞰を獲得した瞬間、神が死んでしまった(=近代)。ざっくりいえば、そんなところ。

誰の本で読んだか失念したが、日本だと浅草の十二階(凌雲閣)。これが東京市民の視線に「俯瞰」という事件をもたらした。もうひとつおもしろいエピソード(別の本か記事だった)は、ダゲレオが写真機を完成させたとき、「それでは」と勇んで撮影したのが、気球に乗っての俯瞰撮影だったというもの。ダゲレオが残したテクストでは、そのときの爽快感・感動を「神の視座」に結びつけて表現されているそうだ。「おお! 神様はこんなふうに、俺たちの町を眺めてたわけね!」という感じだろう。

新しいところでは、映画「第三の男」の観覧車シーンで、「人間が蟻んこみたいだろ?」というようなセリフがあった。あれも俯瞰という特別の視座の典型的なエピソードだ。

だが、google earth という俯瞰カメラソフトがもたらすものは、それらとはちょっと趣が違う。俯瞰というよりも、「のぞき見」の感触なのだ。これは私個人の資質が理由では断じてない。パソコン画面に地球が浮いている。マウスでグリッと回して、思いついた場所へズーム。どこまで、何が、見えるのか……。これはやはり俯瞰とはどうしても言えない。

視線という、本来は肉体的な観念もまた、情報化していく。

というか、まだグルグルしとるよ、目ん玉が。


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by tenki00 | 2005-07-27 01:22 | pastime
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