ドアミラーに跳び蹴り

ポンジュノ監督というのは、巧みであることはもちろんなのですが、観ていて何が気持ちいいのかというと、ひとつには、権力やらエラい人やらお金持ちやら(いわゆるエスタブリッシュメント)に対するクソクラエというその姿勢です。

高級乗用車のドアミラーに向かって跳び蹴りをくらわすシーンが、4作中2作に出てくる(「ほえる犬は噛まない」「母なる証明」)なんていうのはちょっと異常で、これはもう、よほど、跳び蹴りたいのだろう、と。

この行為は、クソクラエ精神の素晴らしくシンプルな発露(わかりやすさの快感)。おまけに青春の爽やかさをともなう。とりわけ「ほえる犬は噛まない」では、白いドアミラーがスローモーションで遠くへと転がっていく(美しいシーン)。女の子ふたりが壊したドアミラーを胸に抱えて地下鉄で眠り、さらにラストでは、ドアミラーで私たち観客にキラッとめくらます。戦利品を誇るように、いたずらっぽく。

なんて小さなつまらない(ここ、大事)レジスタンスでしょう。きっと、ポンジュノという人の思い出のなかに、カッコよくドアミラーに跳び蹴りを決められる、ポンジュノにとってヒーローのような存在がいるのだと思います。
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by tenki00 | 2010-06-02 01:06 | pastime
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