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とれもんどサモさらうんど木は曇る T & lamp
『彼方からの手紙』第4号より。「T & lamp」は鴇田智哉と乱父のユニット(デュオ)。乱父については、以下の記事を参照。 ≫鴇田智哉・俳句とは何だろう ≫拙記事・乱父とユビュ親爺 とれもんど~の句は、ここまで来ると、もう「音」というか「音楽」というか。 ただし、それにしても表記(ひらがな・カタカナ・漢字)が、この句の「音」の組成に(楽譜の指示記号のように)大きく寄与していることは興味深い。 この句、全8句から成る連作の一句なのですが、例えば、《しらぎれる吹いきゃらもんを飛ばらもん》などは、方言ぽくもあり、したがって土俗的なメロディに聞こえる。《たらも屋の奥の方から和金が出るわ》などは、意味がまだわずかに残り、ちょっと毛呂篤っぽくもある。 掲句のとれもんど~は、比較的バタ臭く、80年代ヨーロッパのオルタナティヴ・ロックのようなのですね。 もんど~、もんど~。 非常に、もんど。とても、もんど。 てなわけで、モンドな一句ともいえます(モンドという概念は、こちらを参照)。 と同時に、「木は曇る」に、「こゑふたつ」の頃の鴇田智哉の香りが漂い、オールドファン(例えば私)にも受容しやすい一句ではないでしょうか。 ●
『豆の木』第16号(2012年4月21日)より。
大いなる甕に手を掛け春眠し 太田うさぎ 甕に手を掛けたまま眠ってしまいそうで、「ちょっと、だいじょうぶですか」と起こしてあげたくなります。 甕には水が張ってあって(いや、酒かw)、水=液体はすなわち催眠的なわけで、眠りとともに身体=精神は甕の水の中へと。まあ、このあたりは、読者が味わう幻想の領分。句でそこまで明示しないのがオツというもの。 しかし考えてみるに、上記のトリップ(読者的幻想)にまで句が踏み込むか、そこ手前で踏みとどまるかで、作家の色合い、作風が大きく分かれます。 太田さん(この言い方、新鮮だなあ)は、はっきりと後者の作家。 雛菊に添ふる乗船券二枚 同 トリップの前奏(準備)として、さりげなく句が置かれる。。一歩手前がちょうどいいあんばいなのですね。 ●
しかしまあ、なんですね。
凍星や孤立無援にして無数 高野ムツオ こんな句まで、震災というコンテクストを呼び寄せるのか、と、スピカの座談記事を読んで、思ったですよ。 「や」をどう読むかは人によって違うようで、私は、一物の「や」と解して、つまり、「凍星」というものは「孤立無援にして無数」であるぞ、と、まずは読む。その後、どのような含意を交響させるかは別にして、最初の読みとしては、いわゆる取り合わせとしては扱わない。 まあ、そんなことより、震災コンテクスト。この句が掲載されたのが『小熊座』という宮城の俳誌であるという、それが強力なコンテクストであることは、まずあるとして、3.11というコンテクストが、俳句の読みを広く覆い尽くす状態は、あと何十年かそれ以上も続くわけですね。 もちろん、実際のところ、津波や地震という語が〔コンテクスト3.11〕による読みの拘束から、当分のあいだは逃れることができない。そのことは致し方なく、また当然としても、〔誰が〕〔どこで〕作ったか、といった「生産地情報」が大きく頭をもたげるというのは、ちょっと異常な、といって悪ければ特別な状態で、こりゃあいったいいつまで続くのでしょうか? 「この野菜、福島産?」「いや西日本です」とかといったレベルですよ、こういうのって。 念のために言っておくと、こういう状態を憂いているわけでも、批判的なわけでもありません。俳句の「読み」そのものを変えてしまうくらいに、3.11コンテクストは強烈なのだなあ、と。これは、当たり前のことに今更のように感慨をもって接したということなのです。 ● 一方、死は語られることで死となり、不幸は語られて初めて不幸となる、という面はあるわけで、例えば、あの3月11日にも、語られることのない死が無数に、同時的に存在したわけです。喉にモノを詰まらせたとか、毒蛇に噛まれたとか、クルマにはねられたとか、ね。 物語られることで、死は、不幸は、多くの(生き延びた/幸福な)人によって感情的に共有される。 とすれば、「俳句化」とは、きわめて儀礼的な行為(葬儀に類する)なのかも、ですね。 ●
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